オシメルチニブ、化学療法後のアミバンタマブ+ラゼルチニブ

Amivantamab Plus Lazertinib in Patients With EGFR-Mutant NSCLC After Progression on Osimertinib and Platinum-Based Chemotherapy: Results From CHRYSALIS-2 Cohort A.

Besse B et al.
J Thorac Oncol. 2025 May;20(5):651-664.
PMID:39755170.

Abs of abs,
オシメルチニブおよびプラチナ製剤ベースの化学療法中または終了後に病勢進行を認めたEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌に対する治療選択肢は限られている。CHRYSALIS-2コホートAでは、オシメルチニブおよびプラチナ製剤ベースの化学療法中に、またはその後進行したEGFRエクソン19欠失またはL858R変異を有する患者を対象に、アミバンタマブとラゼルチニブの併用療法を評価した。主要評価項目は、主治医評価による奏効率であった。患者はアミバンタマブ1050mg(体重80kg以上では1400mg)を静脈内投与、およびラゼルチニブ240mgを経口投与された。コホートA(N=162)において、主治医評価による奏効率は28%[22-36]であった。独立判定では35%[27-42]、奏効期間中央値は8.3ヶ月[6.7-10.9]、臨床的有益性は58%[50-66]であった。中央値12ヶ月の追跡期間において、56名の奏効者中32名(57%)が6ヶ月以上の奏効期間を達成した。独立判定による無増悪生存期間の中央値は4.5ヶ月[4.1-5.8]; 全生存期間中央値は14.8ヶ月[12.2-18.0]であった。ベースライン時に脳病変を有し放射線治療または手術歴のない7例において、中枢神経系に対する抗腫瘍活性の予備データが報告された。循環腫瘍DNAの次世代シーケンシングを用いた探索的バイオマーカー解析では、EGFR依存性またはMET依存性耐性を有する患者と有さない患者双方に奏効が認められた。最も頻度の高い有害事象は発疹(総称;81%)、輸液関連反応(68%)、爪周囲炎(52%)であった。グレード3以上の治療関連有害事象で最も多かったのは発疹(総称;10%)、輸液関連反応(9%)、低アルブミン血症(6%)であった。治療選択肢が限られている患者において、アミバンタマブ+ラゼルチニブは抗腫瘍活性を示し、その安全性プロファイルはEGFRまたはMET関連のものであり、これらは概ね管理可能であった。

感想
EGFR遺伝子変異陽性肺癌にとってオシメルチニブと化学療法終了後は期待できるレジメンを使い尽くした状態です。ここでアミバンタマブ+ラゼルチニブを投与するとどうなるかを見た研究です。オシメルチニブ後はMET関連の耐性化をきたしている場合が多く、MET阻害薬中心の戦略が研究されています。過去にはオシメルチニブ継続+テポチニブが試され有望な結果でした。ではMET阻害薬であるアミバンタマブはどこで使うのがベストなのでしょうか。これまでのPFS報告を表にまとめてみました。TKI後のプラチナ+ペメトレキセドの成績はMARIPOSA-2を引いても良かったのですが、シスプラチンも混ざったものの方がより現実的かと思い、Keynote試験のものを使っています。これを見るとアミバンタマブ、ラゼルチニブがどこかで入った方が全体的に成績は良さそうです。とは言え今までの歴史からみると初回に抗がん剤+アミバンタマブ+ラゼルチニブを行うのが最も予後が良さそうです。遺伝子的プロファイルを無視して全体として攻めた場合はこうですが、細かく耐性機序によって攻めることも考えられます。しかし耐性機序がEGFR系であろうがMET系であろうがあまり変化ない結果でした。アミバンタマブの登場により初回治療の議論が再燃しています。手間や慣れなどさまざまな要因が重なり初回治療の選択がばらつく可能性が懸念されます。