オシメルチニブ治療とPD-L1発現

Impact of PD-L1 on first-line osimertinib outcomes in EGFR-mutant NSCLC: real-world data from the AURORA25 study and meta-analysis.

Alexander M et al.
Lung Cancer. 2026 Jan;211:108854.Epub 2025 Nov 24.
PMID:41371099.

Abs of abs,
初回治療としてのオシメルチニブにおけるPD-L1発現の予後への影響は不明である。本研究はAURORAコホートを用いた後ろ向き多施設研究で、実際のコホートにおける生存率との関連性を評価しメタアナリシスを追加した。主要評価項目は、PD-L1高(≥50%)と低(0-49%)を比較した実地での無増悪生存(rwPFS)である。副次項目は、全生存期間、オシメルチニブ投与期間および奏効率、≥1%/≥25%/75%のカットポイントでの解析である。またPD-L1発現による初回オシメルチニブの成績を報告した2025年4月18日までの研究のメタアナリシスを実施した。15施設216人を解析し、PFSは24.8ヶ月[19.7-29.6]あった。PD-L1が高い(≥25%、≥50%、≥75%未満)はPFSの短縮と関連していた。PD-L1≥50%(n=35/216、16%)の0-49%(n=181、84%)に対する調整後ハザード比はは3.03[1.85-4.96]、p<0.001)であった。OSは56.9ヶ月[23.3-57.4]:PD-L1 ≥50で40.4、0-49%で57.0。PD-L1は未調整解析で短いOSと相関し、調整後も≥75%が有意であった(ハザード比2.09[1.01-4.33]、p=0.046)。また6研究のメタアナリシスにより、PD-L1≥50%対0-49%)でPFSが短く(ハザード比2.32[1.16-4.64]、p=0.0178)、OS(ハザード比2.38[1.16-4.86]、p=0.0176)も短いことが確認された。PD-L1≥50%は、初回オシメルチニブにおけるEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌の進行または死亡リスクの2倍以上と関連していた。メタアナリシスからもPD-L1発現は予後不良因子であり、前向き試験により確認される必要があるものの、この集団はより強い初回治療により恩恵を受ける可能性がある。

感想
EGFR遺伝子変異陽性では、PD-L1が高発現であってもICIの奏効率が低く、TKIへの治療抵抗性を示すことが知られています。これは小規模研究で繰り返し報告されてきた既知の事実ではありますが、本試験は症例数の多さを活かし、変異部位別に詳細な解析を行っている点に価値があります。解析結果によると、高値vs低値のPFSのハザード比は19delで2.19、L858Rで2.98と大きな差はなく、PD-L1発現のみではアウトカムの差を十分に説明できないことが示唆されました。一般に19delの方がTKI依存性が高いとされますが、L858Rで特にPD-L1が高い症例が多いわけではなく、TKIへの反応性の差は別の要因に起因すると考えられます。
TPSが高いことがTKI抵抗性と相関するのに、ICIの奏効には結びつかないのはなぜでしょうか。その理由は、EGFR遺伝子変異陽性におけるPD-L1発現が、免疫細胞(T細胞など)による攻撃からの回避ではなく、EGFR増殖シグナルの異常そのものによって誘発されているためと理解できます。言い換えればTPSが高いということは、EGFR変異による下流シグナルが極めて強力に作動していることの証拠です。したがってTKI単剤では抑えきれず抵抗性を示す一方で、ICIを投与しても効果が得られにくいということになります。となるとPD-L1が高いEGFR遺伝子変異陽性肺癌は、無治療での腫瘍増殖が早いでしょうし、治療中にPD-L1発現が上がる例があることが予想されます。