ロルラチニブのPFSは5年以上

Lorlatinib Versus Crizotinib in Patients With Advanced ALK-Positive Non-Small Cell Lung Cancer: 5-Year Outcomes From the Phase Ⅲ CROWN Study.

Solomon BJ
J Clin Oncol. 2024 May 31:Epub ahead of print.
PMID:38819031.

Abs of abs.
第Ⅲ相CROWN試験において、未治療ALK陽性非小細胞肺癌において、ロルラチニブはクリゾチニブに対して無増悪生存期間と頭蓋内効果を改善した。今回はCROWN試験の5年フォローアップを報告する。ALK陽性肺癌296人をロルラチニブ100mgを1日1回投与する群(n=149)とクリゾチニブ250mgを1日2回投与する群(n=147)に1:1で無作為に割り付けた。今回の事後解析では、主治医評価の有効性、安全性の更新とバイオマーカー解析を示す。PFSの追跡期間中央値はそれぞれ60.2カ月および55.1カ月で、ロルラチニブでは到達せずNR[64.3~NR]、クリゾチニブでは9.1カ月[7.4~10.9]であった(ハザード比0.19[0.13~0.27]);5年PFSはそれぞれ60%[51~68]および8%[3~14]であった。頭蓋内進行までの期間中央値は、ロルラチニブで未達[NR~NR]、クリゾチニブで16.4カ月[12.7~21.9]であった(ハザード比0.06[0.03~0.12])。安全性情報は先行解析と一致していた。ロルラチニブ治療終了時に採取された循環腫瘍DNAからは、新たなALK耐性変異は検出されなかった。5年間の追跡調査では、ロルラチニブ群のPFS中央値はまだ未到達であり、進行非小細胞肺癌およびすべての転移性固形癌において、分子標的単剤治療で報告された中で最長のPFSに相当する。これらの結果は、頭蓋内有効性の延長と新たな安全性シグナルがないことと相まって、進行ALK陽性肺癌にとって前例のない結果であり、分子標的治療薬の新たな指標となるものである。

感想
PFSが5年経っても未到達という驚異的な成績です。アレクチニブのPFS34ヵ月も驚きましたが、ALK肺癌の治療の進歩はさらに上を目指すということで、進行肺癌でも5年以上持つならば80歳台の方については天寿を全うということも考えられます。脳転移への効果は以前から知られていますが、ロルラチニブ群でベースラインで脳転移がなく新たに出てきたのは4/114と非常にわずかでした。これまで私は脳転移のある人は初回治療がロルラチニブと思ってましたが、今回の結果を見るとすべての人を対象にしても良いのではないかと思っています。有害事象としても脳症状は以前から言われていますが、よく説明しておけば対応できるケースが多いです。高脂血症や浮腫も目立ちますが、注意しておけば対応できますし、今回最初の16週以内に減量した患者とそうでない患者を比較されていますが、あまり差はないようです。耐性機序についてはMAPK、PI3Kなどバイパス経路の活性化が多いようですが、わからないケースが多いです。すべての肺癌でこれくらい効いてくれたら日常診療も楽になりますが、そう簡単には行きません。次の段階として、10年効いている人に中止かが可能か?という議論もいずれなされるかも知れません。