初回治療としてのADC+ICIは有望か?

First-Line Sacituzumab Govitecan Plus Pembrolizumab in Metastatic NSCLC: PD-L1 TPS Less Than 50% and More Than or Equal to 50% Cohorts of the EVOKE-02 Study.

Reck M et al.
J Thorac Oncol. 2026 Mar;21(3)
PMID:41173143.

Abs of abs,
サシツズマブ・ゴビテカン(SG)は、Trop-2を標的とする抗体薬物複合体であり、これまで既治療進行非小細胞肺癌を対象としてきた。今回は初回治療に関する、国際共同非盲検多コホート第Ⅱ相試験であるEVOKE-02の結果を報告する。治療可能な遺伝子変異をない進行非小細胞肺癌患者を対象に、day1,8にSG 10 mg/kgを投与、day1にペムブロリズマブ200mgを投与した。主要評価項目は独立判定の奏効率とし、副次評価項目をPFSおよび安全性とした。データカットオフ時点では、TPS≧50%の30名(コホートA)とTPSが50%未満である62名(コホートB)が登録されていた。奏効率は、コホートAで66.7%[47.2-82.7]、コホートBで29.0%[18.2-41.9]であった。コホートAのPFSは13.1ヶ月[6.7-未達]、コホートBは7.0ヶ月[4.2-12.9]であった。Trop-2発現は、SGおよびペムブロリズマブによる治療の臨床的有効性(PFS、ORR)の向上とは相関しなかった。グレード3以上の治療関連有害事象は70例(76.1%)に認められ、最も頻度が高かったのは好中球減少(17.4%)であった。いずれかの試験薬の中止に至ったのは25例(27.2%)であった。SGとペムブロリズマブの併用療法は、特にTPS≧50%の患者において有効性を示した。有害事象は管理可能であり、それぞれの既知の安全性プロファイルと一致していた。

感想
既治療例に対するサシツズマブ・ゴビテカンはEVOKE-01試験として、対ドセタキセルで比較されています[Paz-Ares LG JCO2024 PMID:38843511]。この結果はOSのプライマリーエンドポイントを達成できず、PFS 4.1 vs 3.9ヵ月、ハザード比0.92[0.77-1.11]で、奏効率は13.7% vs 18.1%で負けています。これのTPS別の解析は載っていませんが、その代わり「直近のICIへの奏効」別に見たものがあります。PFSについてSG/DOXをNon-responderで見ると4.2ヵ月 vs 4.0ヵ月、responderで3.9ヵ月 vs 4.2ヵ月でした。おそらくresponderの方がTPSは高いと考えると、TPSが高い方でGS単剤の効果が弱いことが見て取れます。仮にTPSとGSの効果に若干でも関係があるとするならば、両者を合わせた場合効果が相殺されてしまう可能性すらあります。
さて今回のデータはTPS≧50%集団で、奏効率66.7%、PFS13.1ヵ月でした。ペムブロリズマブ単剤のKN-024試験[Reck M NEJM2016 PMID:27718847]では奏効率44.8%、PFS10.3ヵ月なので薬剤を追加した分少し良くなっています。本来ケモコンボとしてKN-189試験[Gandhi L NEJM2018][Gadgeel S JCO2020 PMID:32150489]と比較して、TPS≧50%集団における当該試験では奏効率61.4%、PFS11.1ヵ月、またKN-407試験[Paz-Ares LG NEJM2018 PMID:30280635][Novello S JCO2023 PMID:36735893]での奏効率60.3%、 8.3ヵ月ですので数字上は有望とも言えそうです。一方TPS=1-49%ではKN-189試験での奏効率49.2%、PFS9.2ヵ月あり両方とも負けており勝ち目はなさそうです。この治療が初回治療として確立するためには毒性の問題もあります。治療薬関連のG3以上の有害事象が45.7%、SGを止める理由になったものが23.9%、治療関連死3%(敗血症)とのことで実用上の忍容性も気になるところです。下痢、貧血が多く管理しにくい印象も受けます。また理論上Trop-2が高発現であればあるほど良く効きそうですが、それも確認できないところも弱点です。乳癌に対するDato-DXdではTrop-2発現と効果が相関することも報告されています[Meric-Bernstam F ClinCancerRes2025 PMID:39585341]。これが腫瘍微小環境における薬剤の性質に起因するものかどうかも今後検討していく必要があります。