Outcomes and Toxicity following 3 or More Definitive Courses of Thoracic Radiation Therapy for Non-Small Cell Lung Cancer.
Odwuor A et al.
Clin Lung Cancer. 2025 Jul;26(5):384-392.
PMID:40318943.
Abs of abs,
サルベージ再照射は、既治療領域における非小細胞肺癌の局所再発または新規肺癌に行われることが多くなっている。しかし有効性や毒性に関する情報は限られている。今回は、新規および再発非小細胞肺癌に対し複数回の根治的放射線療法を施行した患者ついて検討した。2012年から2021年までに、新規または再発例に対し根治的胸部放射線療法を3回以上受けた患者を後方視的に検討した。毒性はCTCAE-v5.0に従って評価され、予後はKaplan-Meier法で推定された。組み入れ基準を満たす51例のうち、根治的胸部照射は161回(8例が4回)であった。119回(74%)は局所病変に対するSBRT、残りは従来型分割照射(半数は同時化学療法を含む)を実施していた。17例(33%)はすべてのSBRTであった。38例(75%)では、治療領域の重なりが見られた。最終の放射線治療後の全生存期間中央値は2.9年(1.5-4.4)であり、無増悪生存期間は14ヶ月(8.5-19)であった。3年推定OS(±標準誤差)は、すべてのSBRTだけを受けた患者で81%(±10%)、照射方法が様々な治療を受けた患者で32%(±9%)であった。全体的なグレード3の毒性発生率は6%で、グレード4または5の事象はなかった。今回の根治胸部放射線療法は、複数の前治療歴がある場合でも安全かつ有効な局所制御療法であり、様々なサルベージ療法として計画の際に検討すべきものである。
感想
ときどき実地でも遭遇します。化学放射線療法を行った経過観察中に対側に原発か転移かよくわからない腫瘤が出現、果たして両側に根治照射を行ってよいのか迷います。同側の上と下に一つずつ小さなものがある場合は特に難しい判断が必要となります。今回は胸部に3回以上根治照射をした症例の検討です。照射間隔についての情報は、あまりなく初回RTから最終RTまでの期間の中央値は3.2年とありますので、相当間隔をあけて複数回照射したデータです。また症例の状態はかなりばらついており予後は参考程度です。また基本的にはSBRTの繰り返し、あるいはケモラジ後のSBRT追加と読んだ方が良さそうです。わずかなものも含め領域の重なりは3/4に見られました。毒性として、グレード2が6件(肺臓炎1、食道炎5)、グレード3が3件(気道狭窄1、気管支胸膜瘻1、食道狭窄1)が起こっています。しかしこれらは縦隔への重複照射ではないようです。根治照射の間隔としてだいたい半年以上が考えられているようであり、縦隔など重要臓器への線量は配慮しながら行われています。細かい用語の定義や専門家の議論については参照文献で挙げられている論文[Rulach R AdvRadiatOncol2021 PMID:33851065]が興味深いです。この参考文献をざっとみると、決まってはいないものの放射線治療医の大まかなコンセンサスがわかります。
オリゴメタに対する治療はどうしても経過を見てる主治医の使える治療によって大きく左右されるように感じています。内科なら抗がん剤を考えるし、外科なら追加切除を考えるし、放射線治療医ならSBRTで焼いてしまおうとするでしょう。各自の担当分野にとらわれず、幅広く治療手段を考えるようにしていくことが必要になります。