Adjuvant Durvalumab in Completely Resected Early-Stage Non-Small Cell Lung Cancer.
Goss GD et al.
J Clin Oncol. 2026 Mar;44(7):553-564.
PMID:41529222.
Abs of abs,
完全切除された非小細胞肺癌を対象とした免疫療法の2つの試験において転帰の改善は見られるが、主要評価項目の結果は相反している。カナダの臨床試験グループで行われたBR.31試験では、完全切除例への術後補助デュルバルマブを評価している。IB期(4cm以上)からⅢA期非小細胞肺癌の切除後、適切と思われる補助化学療法を経て、患者は2:1の割合で無作為に割り付けられ、4週間ごとに12サイクル、デュルバルマブ20mg/kgまたはプラセボ20mg/kgが投与された。層別化因子は病期、リンパ節郭清範囲、PD-L1発現、補助化学療法の有無、実施施設である。主要評価項目は主治医評価によるDFS。副次的評価項目にはOS、有害事象、QOLである。主要解析は、PD-L1≥25%(SP263)、EGFR遺伝子変異(common)なし(EGFR-)、ALK遺伝子変異なし(ALK-)のサブグループで実施された。階層的順序による副次的解析には、腫瘍がEGFR-/ALK-でPD-L1 TC ≥1%のサブグループにおけるDFS、続いて腫瘍がEGFR-/ALK-の全患者、さらに同じ階層的順序で同じ主要・副次的サブグループにおけるOSが含まれた。無作為化された1415例の患者のうち、1219例(86%)がEGFR-/ALK-であった:815例がデュルバルマブ群に、404例がプラセボ群に無作為に割り付けられた。中央値60ヶ月の追跡期間において、主要対象集団(ハザード比0.93[0.71-1.25]、P=0.64)および副次対象集団のいずれにおいても、デュルバルマブ群(316例)とプラセボ群(161例)のDFSに差は認められなかった。グレード3/4の有害事象は、デュルバルマブ治療群でより多く認められた(デュルバルマブ26% 対 プラセボ20%)。完全切除後の補助療法としてのデュルバルマブは、PD-L1発現状態にかかわらず、EGFR/ALK陰性非小細胞肺癌において、プラセボと比較してDFSの改善がなかった。
感想
術前無しの術後補助化学療法としての免疫療法は評価が定まっていません。直感的には高TPSの場合利益がありそうですが、既報の臨床試験ではアテゾリズマブで利益あり、ペムブロリズマブで利益なしと相反しています。肺癌診療ガイドラインでは、TPS50%以上について「弱い推奨」にとどまっています。今回はほぼ同じ設定でされた3本目の試験で、表にして横比べてみました。概要を見ると、おおむねTPSと関連なく弱い無再発生存延長効果しかなさそうですし、ステージが進むごとに利益が少なくなるようです。また他と比べIMpower試験のTPS=50%以上だけが異様な感じを受けます。また(術前+術後の)ネオアジュバント治療でも術後のICIが必要かどうか議論されるくらいですので、現時点で私の中での結論は「術後のICIはほとんど意味がない」、です。
しかしⅠ期と思って手術したら実はⅡ期Ⅲ期であったという事態に頻繁に遭遇します。対策としてステージングの基本として「疑わしきは罰せず」でしたが、特にリンパ節転移に関して迷って若いステージに入れることをいったん止めようと思っています。つまり少しでも疑わしいリンパ節は「転移あり」と取り、ネオアジュバント治療の方向に行くことです。もう一つは「疑似I期」症例は術後プラチナ2剤だけにしておく方向性です。臨床試験は主にN1と判明している症例を登録しており、術後Ⅱ/Ⅲ期と判明した症例と同じではないからです。また保険診療上も術後ICI投与中に再発した場合、地域によってはKEYNOTE-189などの初回標準レジメンが使えない可能性があります。これらは何とも悩ましい状況です。そもそも術後のCDDP+VNRも、術後有効と固まるまでかなりの時間がかかり、結局メタアナリシスするとよかったというだけです。エビデンスとしてはこうなっていてもCDDP+VNRが最適レジメンと信じて疑わない人はどれくらいいるのでしょうか。結局術後が古いレジメンで、術前がⅣ期に使われる最新レジメンとなればなるべくこちらを使う方向に行くのが自然でしょう。