Clinical utility of pretreatment Glasgow prognostic score in non-small-cell lung cancer patients treated with immune checkpoint inhibitors.
Takamori S. et al
Lung Cancer. 2021 Feb;152:27-33.
PMID:33341085.
Abs of abs.
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は非小細胞肺癌(NSCLC)の標準治療の一つとなっている。Glasgow prognostic score(GPS)、修正GPS(mGPS)、CRP/アルブミン比(CAR)などの炎症性指標は、がん患者の生存率の信頼できる予測因子であることが報告されているものの、ICI治療での有用性は不明である。2016年1月から2019年12月までの間に2施設でICI単剤治療を受けた進行/再発NSCLC患者(n=304)を解析した。診断時の患者背景、GPS、mGPS、CARのデータを集め。各因子の全生存期間(OS)予測のため、ROCの時間依存性AUCを比較した。3指標のうち、GPSが最も有意に病勢制御率(DCR)と相関していた(GPSのDCRは0、1、2でそれぞれ63.6%、49.4%、41.4%)。OSの予測におけるGPSの時間依存AUC値は、mGPSおよびCARよりも優れていた(1年後のOSの予測におけるGPS、mGPSおよびCARの時間依存AUC値:0.7005、0.67、0.67。1年後のOSを予測するためのGPS、mGPS、CARの時間依存AUC値は、それぞれ0.7005、0.6736、0.6565であった)。GPSは、PS(P<0.0001)およびステージ(P=0.0139)と有意な相関が見られた。GPSとPSを組み合わせると、1年後の生存率を83.5%(GPS=0、PS=0)から25.0%(GPS=2、PS=2、3)の範囲で効果的に予測できた。多変量解析を行うと、GPSはPFSとOSの独立した予測因子であった(P=0.0009、P = 0.0100)。結論として、GPSがICI治療を受けたNSCLC患者において、シンプルで有用な予後因子であることが知られ、前向きに検証されるべきと言える。
感想
GPSはCRP、アルブミン値を用いる予後指標でCRP=<1かつAlb>=3.5を0とし、どちらかだけを満たしていれば1、両方満たしていなければ2とするスコア化です。一方は修正GPSはCRPのカットオフ値を0.5としたり、さまざまなバリエーションがあるようです。今回のmGPSは、CRP=<1のカットオフはそのままにして、CRP=<1はアルブミン値に関係なく0とし、CRP>1かつアルブミン>=3.5を1、CRP>1かつアルブミン<3.5を2とスコア化しています。このスコア化は単純であり、特別な検査もいらないので有用であると思います。私の理解不足かも知れませんが、今回の結果は、修正GPSも含めてさまざまな疾患の予後因子と知られるものが、ICI治療の中でも使えていたということであり、ICIの効果予測とまではいかないと思います。病勢制御率をどう見るかですが、正確には前向きの腫瘍評価が必要と思います。私たちが知りたいのは、免疫治療で恩恵を受ける集団であり、これから検証されるべき課題と思います。また今回全生存期間に対する解析でもmGPS以外に、多変量でPD-L1(50%以上、未満)は残ってきていることに注意すべきです。つまり依然としてPD-L1 statusは重視すべきであるということです。この点でもPD-L1だけでは何か足りていないという私達の感覚とよくあうデータであり、貴重な報告だと思います。