KN-010の生存データのアップデート。

Five Year Survival Update From KEYNOTE-010: Pembrolizumab Versus Docetaxel for Previously Treated, Programmed Death-Ligand 1-Positive Advanced NSCLC.

Herbst RS et al.
J Thorac Oncol. 2021 May26. Epub ahead of print.
PMID:34048946.

Abs of abs,
KEYNOTE-010試験では、前治療歴のある進行非小細胞肺癌患者において、TPS50%以上あるいは1%以上で見た場合、ペムブロリズマブはドセタキセルに対して全生存期間を改善した。今回はKEYNOTE-010試験の5年間の有効性と安全性の追跡調査を報告する。患者は、ペムブロリズマブ2mg/kgまたは10mg/kgを3週間に1回投与する群と、ドセタキセル75mg/m2を3週間毎に投与する群に無作為に割り付けられ、最大35サイクル(2年間)投与された。ペムブロリズマブ完了後に再発した場合、2回目のペムブロリズマブを最大17サイクル(1年)投与することができた。本解析では、ペムブロリズマブの投与量をプールし解析した。計1034人の患者が無作為化された(ペムブロリズマブ:n=691、ドセタキセル:n=343)。追跡期間中央値は67.4カ月(60.0~77.9)であった。OSのハザード比は、PD-L1 TPS50%以上の患者で0.55[0.44-0.69]、TPSが1%以上の患者で0.70[0.61-0.80]であった。5年生存率の比較はTPSが50%以上の患者では25.0%対8.2%、TPSが1%以上の患者では15.6%対6.5%であった。ペムブロリズマブの35サイクル/2年間の投与を完了した79名の患者では、投与完了から3年後(無作為化から約5年後)の生存率は83.0%であった。21人の患者が2回目のペムブロリズマブ投与を受け、うち11人(52.4%)に奏効が見られ、15人(71.4%)がデータカットオフ時点で生存していた。探索的バイオマーカー解析の結果、組織の腫瘍のTMBが高い(1エクソームあたり175個以上の変異)ことが、ペムブロリズマブによる予後改善と関連していた。ペムブロリズマブは、TPS50%以上および1%以上の前治療歴のある進行非小細胞肺癌患者において、ドセタキセルよりも長期的な利益をもたらしていた。この結果は、ペムブロリズマブが二次治療以降の標準治療として結論付けるものである。

感想
KNシリーズはフォローアップデータを小出しにしてきます。今回の内容もほとんど昨年の報告[Herbst RS JCO2020 PMID:32078391]と似通っています。TMBの解析が加えられていますが、アウトカムとの関連性は見出されるものの強い因子ではありません。TPS>50%のPFSを見るとセカンドライン以降にも関わらず、5年間増悪なしは18.2%(前回報告は12.8%)と驚くべき数字でtailが上がってきています。おそらく治癒に近い状態を目指せるということで、初回のTFS50%以上を対象としたKN024で5年PFSがどうなっているのか見る必要があります。しかし今のところデータがわからないので何とも言えません。また今後はKN189とも長期成績を比べていく必要があります。仮に最終的に治癒に近い形になる割合が同じであったとしても、どのように治療を組み立てるかは難しい問題です。確実なバイオマーカーを見つけるのが一番良いのですが、当面無理そうです。