Setidegrasib in Advanced Non–Small-Cell Lung Cancer and Pancreatic Cancer
Park W, et al.
N Engl J Med. 2026;394:1409-1420.
PMID: 41879829
Abs of abs,
KRAS p.G12D変異は非小細胞肺癌の5%に認められ、膵管腺癌においては最も頻度が高く約40%の患者に存在する。しかしこの変異を標的とする治療薬は現時点で承認されていない。セチデグラシブは、世界初のKRAS G12Dを標的とした蛋白分解薬である。本第1相試験は、KRAS p.G12D変異を有する既治療の進行固形腫瘍患者を対象として、セチデグラシブの安全性、薬物動態、薬力学的作用、抗腫瘍活性を評価することを目的として実施した。主目的は、用量制限毒性および有害事象で示される安全性プロファイルの評価(主要エンドポイント)、ならびに第2相推奨用量の決定であった。セチデグラシブは10-800mgの用量範囲で週1回点滴静注にて投与された。計203例が登録された。最終的に第2相推奨用量として選定された600mgを投与された76例において、治療中に全例で何らかの有害事象が認められ、そのうちGrade 3以上の事象は42%に生じた。治療関連有害事象は93%に認められ、最も多かったのは一過性注入反応(80%)と悪心(30%)であった。有害事象により治療を中止した患者は2例であった。600mg投与を受けた肺癌45例のうち、36%[22-51]がPRを示し、無増悪生存期間中央値は8.3ヶ月[4.1-NE]、12ヶ月生存率は59%[40-74]であった。2-3ライン治療として600mgを投与された転移性膵管腺癌患者21例(うち67%が3ライン治療)のうち、24%[8-47]が奏効し、PFS中央値は3.0ヶ月[1.4-6.9]、全生存期間中央値は10.3ヶ月[4.2-13.0]であった。セチデグラシブは、既治療の進行KRAS p.G12D変異非小細胞肺癌および膵管腺癌患者において、有害事象による治療中止の頻度が低くなおかつ抗腫瘍活性を示した。
感想
新たな作用機序としての道筋が見えてきた薬です。KRAS G12Cでは共有結合できる部位があり機能阻害が可能となりました。しかしこの変異以外では奏効せず別の対策が考えられてきました。今回のセチデグラシブはG12D蛋白そのものを壊してしまうことで効果を発揮します。第Ⅰ相ですので詳細に検討されており、用量増加とともにG12D蛋白が壊されているのが確認できます。非小細胞肺癌での奏効率は36%、PFS8.3ヵ月で、特に1年PFSが全体でも40%あり既治療としては合格点と言えます。機序からすると、G12Dのみに依存している場合は完治する可能性もあるのではないかと期待します。これは今後の長期成績を見なければ何とも言えません。またG12Dタンパク質を分解・除去してしまうため、タンパク質の「構造」に依存した阻害薬とは根本的に異なる耐性パターンをとる可能性があります。膵癌に対しても奏効率24%あり有望と言えます。主な毒性の注入反応は軽度のものも含めると必発ですが最近の薬に多いので対応可能と考えます。DLTとしては肝機能障害でありこれは他のKRAS阻害薬と似ています。細かい点を見ていくとSTK11変異30%、STK11+KEAP1変異19%、TP53変異19%が確認されています。STK11やKEAP1変異はICI抵抗性であることが知られており、そのような集団に対してもある程度有効であったことは心強いです。