RET Fusion-Positive Lung Adenocarcinoma: Partner-Specific Clinicopathological Characteristics, Co-Mutation Profiles, and Implications for Targeted and Immunotherapy.
Sun Z et al.
Lung Cancer. 2026 Feb 12 Epub ahead of print.
PMID:41707338.
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RET融合変異は肺腺癌における治療ターゲットとなるドライバー変異である。しかしながら、異なる融合パートナー間における臨床背景、共存変異パターン、治療アウトカムについてはよくわかっていない。2017年7月から2024年12月までにRET融合陽性と診断された268例を後ろ向き解析した。KIF5Bサブグループと非KIF5Bサブグループ間で、臨床背景、転移パターン、共存するゲノム変異を比較した。選択的RET阻害薬およびマルチキナーゼ阻害剤、化学療法と併用した免疫療法の治療成績を評価し、融合パートナーに基づくサブグループ解析を実施した。年齢中央値58歳、女性(57.0%)および非喫煙者/軽度喫煙者(60.8%)が多数を占めた。頻度の高い転移部位は骨(12.3%)、胸膜(11.9%)、脳転移(6.7%)であった。KIF5B-RET融合は非KIF5B融合と比較して若い病期でより検出された(p=0.0531)。274例のRET融合の内訳はKIF5B-RETが最多(65%)で、CCDC6-RET(16%)、NCOA4-RET(1%)で順であった。共存変異は患者の28.7%で確認され、頻度が高いのはTP53(39.0%)とCDKN2A(13.0%)であった。CDKN2A変異は主に機能不活性化1塩基バリアントとヘテロ接合体欠失を伴うもので、非KIF5B群でより多く認められた(p=0.0393)。19例の患者がプラルセチニブ、セルペルカチニブ、カボザンチニブを含む標的療法を受け、全体奏効率57.9%、mPFS 12.0ヶ月であった。特筆すべきは、プラルセチニブ治療下において非KIF5B患者群がKIF5B患者群より長い中央値PFSを示した点である(17.0ヶ月 vs 5.5ヶ月、p=0.0473)。15例が初回免疫化学療法を受け、PFS中央値17.0ヶ月、ORR 40.0%、DCR 80.0%を達成し、標的療法と同等であった(p=0.3871)。RET融合変異陽性肺腺癌は、融合パートナーによって異質なサブセットで構成される。KIF5B-RETは若い病期で発生する傾向がある一方、非KIF5BはCDKN2A共変異と関連することが多く、選択的RET阻害による恩恵が大きい可能性がある。免疫化学療法は融合パートナーに関わらず同等の有効性を示しており、RET融合陽性肺腺癌における融合パートナー別の治療戦略の必要性が伺える。
感想
遺伝子変異なら変異部位、融合変異なら融合パートナー別に治療を分けるべきかどうかは常に議論があります。さらに深めて部位別か共存変異別かの議論も重なっており様々な報告がなされています。今回は「RET融合パートナー別に治療を考えるべきか」というテーマを考える材料を提供しています。RETにしては大規模な調査で274例を集めています。RETが1%とすれば万を超える母集団でありかなりの規模です。Fig1Bに融合パートナーの割合が出ています。メジャーであるKIF5B、CCDC6、NCOA4、KIF13AまではAmoyDxでカバーされていますので、日本でもあまり抜けがあるとは思えません。治療では初回のTKI例に関して、KIF5Bよりnon-KIF5Bの方がPFSが長かったです。これは変異によって作られるタンパク質のRET阻害薬に対する安定性の差として説明が付けられています。過去の報告を見てみます。有名なLIBRETTO-001試験[Drilon A NEJM2020 PMID:32846060]の補遺にあるFigS4を見るとKIF5Bでの奏効が若干悪くCCDC6の方が良いような印象もあります。また化学免疫療法についてもPFS17ヵ月で分子標的治療のPFS12ヵ月と遜色ないという書き方をしています。化学免疫療法のレジメンがはっきり書いていないので断定的には言えませんが、仮にKEYNOTE-189主体とすればこれは免疫療法ではなくペメトレキセドの効果の可能性もあります。昔の話ですが、ALKやROS1と同様にペメトレキセドの効果が高いことはすでに複数報告されています[Drilon A AnnOncol2016 PMID:27056998]。また今回TB53の共存有無ではTKIのPFSがあまり変わらないといっていますが、Nが5 vs.7の話なので話半分に聞いておく方が良いかと思います。RETを多く見ることはあまりないですが、融合パートナーによってはRET阻害薬があまり効かないことも珍しくないと思っておくのがよいでしょう。
