Savolitinib plus osimertinib versus chemotherapy for advanced, EGFR mutation-positive, MET-amplified non-small-cell lung cancer in China (SACHI):interim analysis of a multicentre, open-label, phase 3 randomised controlled trial.
Lu S et al.
Lancet. 2026 Jan 24;407(10526):375-387.
PMID: 41544643.
Abs of abs,
サボリチニブとオシメルチニブの併用療法は、EGFR-TK後に増悪したMET増幅を有するEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌への新たな治療選択肢となり得る。今回は、この患者集団においてサボリチニブ-オシメルチニブ併用療法と標準治療であるプラチナ2剤化学療法の有効性および安全性を評価した。SACHI試験は、中国68施設で実施された第Ⅲ相試験である。EGFR-TKIで進行後の患者を、1日1回経口投与のサボリチニブ-オシメルチニブ群または化学療法(ペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン)群に1:1で無作為に割り付けられた。脳転移の有無、第3世代EGFR-TKIの使用歴、EGFR変異サブタイプに基づく層別化を行い無作為化された。主要評価項目は主治医評価よる無増悪生存期間で、階層的に検証された:まず第3世代EGFR-TKI治療歴のない集団で検証し、positiveの場合にITT集団で検証された。安全性は、試験治療を少なくとも1回投与された全患者を対象に評価した。2021年10月15日から2024年8月30日までに211名の患者が登録され、106名がサボリチニブ-オシメルチニブ群に、105名が化学療法群に無作為に割り付けられた。211名中137名(65%)は第3世代EGFR-TKI治療歴がなかった(サボリチニブ-オシメルチニブ群69名、化学療法群68名)。サボリチニブ-オシメルチニブ群106例における年齢中央値は59.4歳、女性62例(58%)であった。化学療法群の105名の患者では、年齢中央値61.9歳、女性55名(52%)、男性50名(48%)であった。全参加者はアジア人であった。第3世代EGFR-TKI未治療群において、サボリチニブ-オシメルチニブは化学療法と比較して無増悪生存期間中央値を有意に延長した(9.8ヶ月[6.9-12.5]対 5.4ヶ月[4.2-6.0];ハザード比0.34[0.21-0.56]; p<0.0001)、ITT集団においても有意に延長した(8.2ヶ月[6.9-11.2]対4.5ヶ月[3.0-5.4];ハザード比0.34[0.23-0.49];p<0.0001)。グレード3以上の治療関連有害事象は、両群で同じ頻度であった(サボリチニブ-オシメルチニブ群106例中60例[57%]、化学療法群96例中55例[57%])。サボリチニブとオシメルチニブの併用療法は、EGFR遺伝子変異陽性かつMET増幅を有する非小細胞肺癌において、EGFR-TKIで進行した症例に対し、化学療法と比較して無増悪生存期間を改善し、良好な忍容性プロファイルを維持した。本レジメンは、このバイオマーカー選択された患者集団に対する経口治療薬の選択肢となり得る。
感想
今回のMET増幅の定義は(a)第1,2世代TKI後はMETコピー数≥5またはMET/CEP7比≥2、(b) 第3世代TKI後はMETコピー数≥10です。CEP7とは7番染色体のセントロメアを認識するものです。METは7番染色体にあるので、この比率が2以上であるということは染色体よりもMET遺伝子自体が増幅していることになります。TKI治療後ですので第1,2世代TKIの場合T790Mも問題になります。今回はこれも除外されています。ちなみにT790M陰性のオシメルチニブの奏効率が21%[Janne PA NEJM2015 PMID:25923549]あることも考慮する必要があります。そして現状に即して考えると第3世代TKI後でどのような成績であったかが重要な関心事です。この群のサボリ—オシメ群 vs 化学療法で、PFS6.9対3.0ヵ月、ハザード比0.32[0.18-0.58]でPFS曲線は一貫して開いています。その他の詳細は今一つはっきりしませんが、競合相手である化学療法+アミバンタマブと比較して、当該PFSが6.3ヵ月、化学療法に対するハザード比は0.48ですので悪くありません。試験間の比較はもともとご法度ですし、MET増幅がどういう自然史を持つかもわかりませんのであくまでも悪くなさそうとの印象だけです。またどれくらいの集団がMET増幅に該当するかも見積もりが難しいところです。患者リクルートのアルゴリズムを見ると、1059人をスクリーニングし、838人の適格例のうち120人のT790M陽性などを除き、211人が登録されたとのことですので25%程度にMET増幅が見られたということになります。治療関連死は2%、主な有害事象としては好中球減少、嘔気、食欲不振、浮腫、低アルブミンなどが挙げられています。経口剤ですので使いやすいと思いますが、この薬が出てくると治療戦略はますますややこしくなります。保険要件によって初回治療にも影響を及ぼします。初回オシメルチニブにより消えていた再生検の問題もまた出てきます。