Comparison of time to failure of pembrolizumab plus chemotherapy versus pembrolizumab monotherapy: a consecutive analysis of patients having NSCLC with high PD-L1 expression.
Takumida H et al.
Cancer Immunol Immunother.2021 Aug 14. Epub ahead of print.
PMID:34389874.
Abs of abs,
PD-L1高発現(TPS50%以上)の非小細胞肺癌(NSCLC)に対する治療戦略は、ペムブロリズマブと化学療法の併用と単剤療法の2つがある。その有効性と安全性を後ろ向きに比較した。2017年から2020年の間に投与されたペムブロリズマブ含有の第一選択レジメンの有効性と安全性を連続症例で検討した。患者は、ペムブロリズマブ+化学療法群(Combo群)または単剤療法群(Mono群)とに分けた。有効性を比較するために、治療開始から治療失敗までの時間(TFS)をモニターした。TFSは次のいずれかの事象までの時間として定義される:最初の方針に無い新たな薬剤の追加、治療終了後のがんの進行、進行してその後の治療が行われない、死亡のどれかが発生した時点。またバイアス軽減のため傾向スコアマッチング(PSM)を用いた。126名の患者を同定した(Mono群89名、Combo群37名)。PSMでは、2群からそれぞれ36名をマッチさせた。Combo群の奏功率と無増悪生存期間の中央値は、Mono群よりも良好であった。しかし、TFSの中央値はほぼ同じであった(11.3カ月対14.9カ月、ハザード比1.40[0.62-3.15])。すべての重篤な有害事象は、Combo群の方がMono群よりも高かった。TFSで見た場合、同じような有効性が見られることから、ペムブロリズマブと化学療法の併用療法と単剤療法の両方が非小細胞肺癌に対する有効な選択肢と考えられる。
感想
現在の臨床疑問に答えようとする意欲的な報告です。私も含め、TPS>=50%についても複合免疫療法で良いとする人が多いような印象です。超高発現(80~90%以上)については単剤という向きもありますが、いずれにしろ実臨床データをできるだけ多く集め、傾向スコアを使って解析…とは誰でも思いつくところです。直球であるOSではまだ機が熟しておらず、今回TFSという代替マーカーを使ってそれに挑戦しています。
ペムブロリズマブ単剤で入った場合の、TFSが今一つよく理解できなかったのですが、おそらく2次治療(プラチナ2剤あるいは高齢者ならドセタキセル)中止までの期間と同じことと理解しました。期待される治療のPFSからするとまだまだ不十分な追跡期間ですが、そこを考慮してもTPS≧50%についてはペムブロリズマブ単剤で開始しても良いかもしれないことを示唆する結果となっています。実はそのままの集団でも、傾向スコアを使用してもあまり結果は変わらず、Combo群のTFSは14.9ヶ月(PFS11.3ヶ月)に対し、mono群のTFSは11.3ヶ月でした。KN189のPFSが8.8ヵ月であることから、特に併用群の成績が悪いわけではなく、mono群の健闘が目立ちます。
今後もっと規模の大きい類似研究が多く出されると思います。現在のところは単剤治療も十分許容されるとの理解でよいと言えます。