オシメルチニブの肺臓炎症例における再投与

Osimertinib-Induced Lung Injury and Treatment Rechallenge: Clinical Insights From a Case Report With a Comprehensive Literature Review.

Citarella F et al.
Clin Lung Cancer. 2025 Dec 22;27(2):59-68.
PMID: 41548383.

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オシメルチニブは、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌に広く使用される第3世代EGFR-TKIである。良好な安全性プロファイルにもかかわらず、オシメルチニブ誘発性肺障害は臨床的に重要な有害事象として残存している。重症例ではガイドラインに基づき永久中止が推奨されるが、再投与の可能性については議論が続いている。グレード4の薬剤性肺障害を起こしてを症し入院した70歳男性の症例を報告する。ステロイドによる改善後、治療をアファチニブに切り替え。その後進行し、新規T790M変異およびMET増幅が認められた。限られた治療選択肢を考慮し、減量(40mg/日)でのオシメルチニブ再投与を慎重にモニタリングしながら試みた。患者は肺炎の再発なく治療に耐え、最終的に進行するまで数ヶ月間の病勢制御を達成した。本症例を体系付けるため、肺障害後のオシメルチニブ投与に関する文献をレビューした。1645例を対象とした27研究中、449例(27.3%)がオシメルチニブによる肺障害を発症、うち189例(42%)が再治療を受け、うち114例は一時中断を伴い、75例は伴わなかった。再投与後の再発リスクは低く報告されており、特に軽度~中等度の肺損傷例では顕著であった。重症例でのリスクを判断することは困難であった。本研究はオシメルチニブ肺障害に対する治療アプローチの多様性と、個々の状況における再投与の可能性を示唆している。早期および進行例におけるオシメルチニブの使用拡大を踏まえ、治療決定の精緻化と患者安全の最適化に向けたさらなる研究が求められる。

感想
オシメルチニブで薬剤性肺臓炎を起こした場合、添付文書上の扱いは「休薬」ではなく「中止」です。日本人では軽度のものも含めると約10%程度の発症があり、リアルワールドデータでも複数確認されています。しかし奏効しているケースが多く、いったんは他剤に切り替えるものの再投与の検討に至ることも稀ではありません。しかし添付文書の記載では再投与を積極的に考えるわけにはいきません。オシメルチニブ肺臓炎になった場合、一旦は他のTKIに切り替えたり、殺細胞性抗がん剤に変えることが多いと思われますが、それが安全という保証もありません。逆に減量・ステロイド併用下の再投与が危険というデータもありません。今回はオシメルチニブ再投与に関して減量、場合によってはステロイド併用で安全に継続可能であることが示唆されます。特に症例のようにGrade4の肺臓炎でも再投与が考慮されることが示されたのは朗報だと思います。肺臓炎だけでなく心機能障害、肝機能障害でも同じことが言えるのかどうかは興味があります。この論文を読んで、自分でも調べてみるとオシメルチニブに関する症例報告が非常に多いことに気づきました(検索では800件ほどヒットします)。今回は文献レビューですが、うまく行かなかった人はおそらく報告されないので出版バイアスが心配です。