ニボルマブ+ベバシズマブ+抗がん剤:TASUKI-52試験

Nivolumab with carboplatin, paclitaxel, and bevacizumab for first-line treatment of advanced nonsquamous non-small-cell lung
cancer.

Sugawara S et al.
Ann Oncol. 2021 Jun 15:Epub ahead of print.
PMID:34139272.

本国際共同ランダム化2重盲検第Ⅲ相試験(ONO-4538-52/TASUKI-52)では、非扁平上皮非小細胞肺癌の一次治療として、ニボルマブとベバシズマブおよび殺細胞性抗がん剤の併用を評価した。2017年6月から2019年7月にかけて、EGFR/ALK/ROS1変異陰性、未治療のⅢB/Ⅳ期または再発非扁平上皮非小細胞肺癌の患者を登録した。治療としてニボルマブまたはプラセボを、カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブと組み合わせて3週間ごとに最大6サイクル投与した。その後、病状進行または毒性が耐えられなくなるまで、ニボルマブ/プラセボとベバシズマブを投与する方法に1:1の割合で無作為に割り付けた。主要評価項目は、独立判定によるPFSであった。日本(371人)、韓国(125人)、台湾(54人)から550名の患者が無作為に割り付けられ、このうち273名と275名にそれぞれニボルマブとプラセボが投与された。事前設定された観察期間中央値13.7カ月時点での中間解析では、PFS中央値に関してニボルマブ群がプラセボ群よりも有意に延長していた(12.1カ月対8.1カ月、ハザード比0.56[0.43-0.71]、P<0.0001)。PFSの改善は、PD-L1陰性の患者を含む、すべてのPD-L1発現で観察された。奏効率はニボルマブ群が61.5%、プラセボ群が50.5%であった。グレード3・4の有害事象は両群間で同等であり、死亡に至る有害事象はニボルマブ群で5名、プラセボ群で4名に生じていた。結論としてTASUKI-52レジメンは、治療歴のない進行性非扁平上皮非小細胞肺癌患者に対する新たな治療戦略として有効であると考えられる。

感想
現在進行肺癌において免疫チェックポイント阻害薬と血管新生阻害薬を上乗せできる人は、最高に状態がよい患者であると言えます。それらエリート集団のデータである点を踏まえて見ていく必要があります。層別化因子はPD-L1発現(50%以上か、1-49%、1%未満)、PS(0か1か)、性別でした。PSは2まで許容していれば別ですが、あまり層別化因子にしないと思います。PS0に何かを見出したかったのでしょうか、ここに試験の方針が垣間見えます(個人的にはPS0か1かは主観が大きいと思います。ちなみに画像判定のCRもです)。結局脳転移も、肝転移も両群でバランスよく入れられています。サブグループ解析では一貫してニボルマブ投与群の方が良好でした。PD-L1発現については、1%未満も含め良好な傾向が確認できます。未成熟ではありますが、全生存期間中央値は25.4ヶ月対24.7ヶ月とあまり差はないですが、曲線全体はわずかに上を行く印象です(ハザード比0.85[0.63-1.14],P=0.2754)。個人的にはハザード比と信頼区間を出してくれるのは好印象です。プラセボ群には全体として65.1%に後治療がなされ、38.5%にICIが使用されています(TableS3)。今後後治療は増加するかもしれませんが少し低い印象です。有害事象の死亡はニボルマブ群では、敗血症、胆管炎、発熱性好中球減少症、喀血、肺臓炎であり、プラセボ群では敗血症、腸穿孔、クレブシエラ肺炎、上部消化管出血でした。出血と穿孔はおそらくベバシズマブ由来であり、ある程度避けられないものです。
この試験と比べるのはIMpower150試験(過去記事)であり、そこで行われたABCP群のPFSは8.3ヶ月、BCP群は6.5ヶ月、ハザード比0.62でした。絶対値のPFSには差がありますが、ハザード比はほぼ同じでした。この試験があまり脚光を浴びない(あくまでも個人の感想です)のは予想通りの結果が確認された以上のことがないためと思われます。さらにIMpower150は全生存期間も延長が示されています。全部で1000例余りを登録し有意水準としてP=0.012をPFSに、P=0.038をOSに振り分け達成したきついIMpower150と比較するとどうしても国際標準という意味で見劣りしてしまいます。しかしそれでもICI+血管新生阻害薬の併用療法の有効性が特に日本人中心の集団で再現されたことは意義が大きいと思います。また個人的には補遺にあるPD-L1発現別に見た抗がん剤(CBDCA+PAC+BEV)の奏効率などのデータが面白く思えました。いろいろな見方ができる試験ですし、オープンアクセスなので是非ご一読ください。