抗がん剤+デノスマブ、統合解析でも有効集団見いだせず

Combined, patient-level, analysis of two randomised trials evaluating the addition of denosumab to standard first-line chemotherapy in advanced NSCLC – The ETOP/EORTC SPLENDOUR and AMGEN-249 trials.

Peters S et al.
Lung Cancer.2021 Nov;161:76-85
PMID:34543941.

Abs of abs.
進行非小細胞肺癌患者に対する標準初回化学療法にデノスマブを追加の意義について、2つの無作為化試験(SPLENDOURとAMGEN-249)が行われた。今回の統合解析では、このことについて入手可能な最大集団をつくり併用療法の可能性を追求した。本解析で対象とした両試験は、組織型、骨転移、地域で層別化された多施設共同無作為化試験(SPLENDOUR 1:1、AMGEN-249 2:1)である。なおSPLENDOURのみ層別化因子としてさらにPSが採用されている。全生存期間(OS;主要評価項目)および無増悪生存期間(PFS;副次評価項目)についてCox比例ハザードモデルを用い評価した。試験間の不均一性を評価しサブグループ解析も行った。740人(SPLENDOUR:514人、AMGEN-249:226人)を用い化学療法-デノスマブ併用群が407人、化学療法単独群が333人を統合解析の対象とした。化学療法-デノスマブ群では、追跡期間中央値22.0ヵ月で277人(68.1%)が死亡し、OS中央値は9.2ヵ月[8.0-10.7]であった。一方化学療法-デノスマブ群では、追跡期間中央値20.3ヵ月で230人(69.1%)が死亡し、OS中央値は9.9ヵ月[8.2-11.2]であった。デノスマブ群での有意な延命効果は認められなかった(ハザード比0.98[0.82-1.18]; P=0.85)。サブグループでは扁平上皮群に有意な効果(ハザード比0.70、95%[0.49-0.98]、P=0.038)が認められ、OS中央値は7.6カ月から9.0カ月となったものの、治療法と組織型の間に交互作用が認められた(P=0.020)。PFSについては、化学療法-デノスマブ群で363例(89.2%)、化学療法単独群で298例(89.5%)のイベントが起こっており、それぞれ中央値は4.8ヵ月[4.4-5.3]、4.9ヵ月[4.3-5.4]であった。PFSはハザード比0.97[0.83-1.15]; P = 0.76で、PFSにおけるデノスマブの有意な利益は示唆されなかった。今回の統合解析では、進行非小細胞肺癌に対するデノスマブと化学療法の併用により、PFS/OSに有意な改善は見られず、またサブグループにおいても利益は得られなかった。

感想
ゾレドロン酸やデノスマブなど骨転移に対する薬剤は主に骨関連イベントの抑制を目的に使われています。肺癌ではこれまでも延命効果は疑問視されています。しかしネガティブに終わったとはいえ、大規模な結果を統合し有効な一群を見出そうとする試みは、臨床試験に参加していただいた患者さん達のためにも追及されるべきと思います。今回はそれでも結果が出なかったということでした。交互作用(interaction)についてきちんと考察されています。サブグループ解析でなにか言いたいとき交互作用の検討は欠かせないのですが、あまり言及されていません。それはさておき実際にデノスマブの投与を控えるかというと、そんなことはなく骨関連イベント、特に病的骨折は大きくQOLを損ねますのでできる限りこれからも投与します。特定の集団に偏らず投与すべきことが確認された報告と理解しておきます。
本題にはまったく関係ないのですが、私の所属科の人員が大幅に減りそうで困っています。それなりに専門的に好きなことができる環境であると思いますが、医局人事以外にどうやって人集めするのが良いのでしょう。最近のトレンドは人材斡旋会社でしょうか。ホームページには派遣会社が強気で交渉してくれ好条件を引き出せた、とかあるのですが、一人だけ特別待遇で逆に居づらくならないのでしょうか。いろいろ思う秋になっています。悪戯は困りますが話を聞きたいDrがいればご連絡ください。