Amivantamab plus Lazertinib in Previously Untreated EGFR-Mutated Advanced NSCLC.
Cho BC et al.
N Engl J Med. 2024 Jun 26. Epub ahead of print.
PMID:38924756.
Abs of abs.
アミバンタマブ+ラザルチニブ(アミバンタマブ-ラザルチニブ)は、未治療またはオシメルチニブ前治療歴のあるEGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺癌において、臨床的に意義ある持続的な抗腫瘍活性を示している。 第3相国際共同無作為化試験において、前治療歴のない進行EGFR遺伝子変異(19Del/L858R)陽性肺癌患者を2:2:1の割合で治療に割り付けた。内訳はアミバンタマブ-ラザルチニブ(非盲検)、オシメルチニブ(盲検)、ラザルチニブ(盲検、治療成分の寄与を評価するため)に2:2:1の割合である。 主要評価項目は、オシメルチニブ群と比較した場合のアミバンタマブ-ラザルチニブ群における無増悪生存期間とし、独立中央判定した。全体で1074例の患者が無作為化を受けた(アミバンタマブ-ラザルチニブ群429例、オシメルチニブ群429例、ラザルチニブ群216例)。 無増悪生存期間中央値は、アミバンタマブ-ラザルチニブ群がオシメルチニブ群より有意に長かった(23.7カ月 vs 16.6カ月;ハザード比0.70[0.58~0.85];P<0.001)。奏効率はアミバンタマブ-ラザルチニブ群の86%[83~89]、オシメルチニブ群の85%[81~88]であった。奏効が確認された患者(アミバンタマブ-ラザルチニブ群336例、オシメルチニブ群314例)において、奏効期間中央値は25.8カ月[20.1~推定不能]および16.8カ月[14.8~18.5]であった。 アミバンタマブ-ラザルチニブとオシメルチニブを比較した全生存期間の中間解析でハザード比0.80[0.61~1.05]であった。 主な有害事象はEGFR関連の毒性であった。 治療関連有害事象による投与中止率は、アミバンタマブ-ラザルチニブで10%、オシメルチニブで3%であった。本試験によりアミバンタマブ-ラザルチニブは、EGFR遺伝子変異陽性進行肺癌の初回治療としてオシメルチニブより優れた有効性を示した。
感想
アミバンタマブはEGFR-MET2重抗体、ラザルチニブは第3世代のEGFR-TKIです。ラザルチニブは単剤投与でPFS20.6ヵ月と報告され、数字上はオシメルチニブよりよく見えます。今回のPFS中央値は、オシメルチニブ16.6ヵ月、ラザルチニブ18.5ヵ月で、生存曲線はほぼ重なっています(Fig1B)。意図的ではないでしょうが、図がきわめて見にくいです。プライマリーエンドポイントは、オシメルチニブ群と比較した場合のアミバンタマブ-ラザルチニブ群における無増悪生存期間、ですので要約の通り目的達成しています。プロトコール上、仮説は27%のリスク低下でハザード比0.73、オシメルチニブ19ヵ月、アミバンタマブ+ラゼルチニブ26ヵ月の見積もりです。今回は両者とも若干下回りましたが、ハザード比は0.70なので的確な予測であったといえます。EGFR-TKIは臨床試験でも後ろ向き研究でもPFSはかなり安定しています。
さて効果は良いとしても問題は毒性です。アミバンタマブ+ラゼルチニブには63%に注入反応がみられ、また肺塞栓など深部静脈血栓症が37%に見られています。現在進行中の試験では開始4か月間の抗凝固療法が推奨されているとのことです。肺臓炎はそれぞれ3%程度でした。注入反応は治療中止理由としても多く見られています。これらに対しては皮下注への変更、前投薬や抗凝固薬による管理が考えられますが、強い注入反応を起こした場合には再投与の判断が難しくなります。また治療関連死も8%、オシメルチニブでも7%に見られ、そもそも安全に投与できるのか、そのための適切な管理をどうするかが課題となります。PFSのサブグループ解析を見ると65歳以上でアミバンタマブ+ラゼルチニブの分が悪くハザード比1.06となっています。しかし75歳を区切りにすると差は見えにくくなります。特に65-74歳だけに良くないとは考えにくいので一概に高齢者が悪いとも言えません。変異部位別では19Delで0.65、L858Rで0.78でオシメルチニブの時のような目立った差はなく、脳転移有無、アジア人かどうかでもあまり差が見られませんでした。どこまで国内で治療が認可されるかわかりませんが、major mutationに対するアミバンタマブ+を使うタイミング、また有害事象のマネジメントはこれから一波乱ありそうです。