Enhanced Versus Standard Dermatologic Management With Amivantamab-Lazertinib in EGFR-Mutated Advanced NSCLC: The COCOON Global Randomized Controlled Trial.
Cho BC et al.
J Thorac Oncol. 2025 Oct;20(10):1517-1530
PMID: 40923969.
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未治療のEGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺癌患者において、アミバンタマブ+ラゼルチニブはオシメルチニブと比較し、無増悪生存期間および全生存期間を有意に改善した。EGFR-TKIは皮膚関連の有害事象を伴い、QOLに影響を及ぼす可能性がある。COCOON試験は予防管理と副作用の改善を目的として実施された。第Ⅱ相COCOON試験では、静脈内投与のアミバンタマブと経口ラゼルチニブを併用し、皮膚管理強化(COCOON DM)群とガイドラインに基づく標準治療(SoC DM)群に1:1で無作為に割り付けられた。COCOON DMには、経口ドキシサイクリンまたはミノサイクリン(100 mg 1日2回、1~12週)、1%クリンダマイシン(頭皮に毎日、13~52週)、4%クロルヘキシジン(指爪および足爪に毎日)、セラミドベースの保湿剤(体および顔に少なくとも毎日)が含まれた。主要評価項目は、12週目までの特徴的な皮膚有害事象(DAEIs)のグレード2以上の発生率であった。計201名の参加者が無作為に割り付けられた(COCOON DM群99名、SoC DM群102名)。追跡調査期間中央値7.1か月時点で、COCOON DM群は標準治療DM群と比較して主要評価項目において有意な減少を示した(42%対75%;オッズ比0.24[0.13-0.45];p<0.0001)。12週目までに、COCOON DMによる最大の効果は、顔面および体幹のDAEI(爪周囲炎を除く;26%対60%;p<0.0001)および頭皮のDAEI(10%対26%;p=0.0049)で認められた。この効果は6か月後も持続し、顔面・体幹・頭皮(爪周囲炎を除く)のDAEIが有意に減少した。患者報告アウトカムはCOCOON DM群で良好であり、皮膚症状のQoLへの影響が軽減されたことを示した。簡便で広く利用可能な予防レジメン(COCOON DM)は、アミバンタマブ・ラゼルチニブ併用時のDAEI発生率を低下させ、症状がQoLに及ぼす影響を軽減した。
感想
顔面、体幹の皮疹は対策によって半分に減らせるが爪囲炎は減りにくいという結果です。従来のエルロチニブなどの皮疹対策でもほぼ同じような結果が得られていますし、爪囲炎が最後に残ってくるのも同じ印象です。ラゼルチニブ単剤の皮膚関連有害事象についてははっきりしたデータがありません。オシメルチニブと同等と考えるとミノサイクリン内服が必要な皮疹はそれほど多くないのでしょう。しかしアミバンタマブの皮疹は実地でも結構ひどい人が出ます。クリンダマイシンはローション形態がありますし、クロルヘキシジンも通常の消毒薬であり、セラミドベースの保湿剤は処方薬ではないようですが、よく使われるヘパリン類似物質で代用可能です。すでに出ている適正使用ガイドには日光への曝露を避け、日焼け止めを使用することと、体の乾燥した部分には、アルコールを含まない皮膚軟化クリームを使用すること、アルコールベースの局所薬は皮膚を乾燥させることがあるため避けることが書かれています。なお保湿について理想的な塗布時間は入浴後でローションよりもクリームや軟膏の方が好ましいとはっきり書かれてあります。また治療開始時から抗生物質の投与を開始し8週間継続することも書かれています。この試験の結果を待つまでもなく、積極的な皮疹予防に努めるべきことは薬の効果を最大限引き出す上でも必要なことでしょう。昔の適正使用ガイドは添付文書のようで大したことが書かれていませんでしたが、今や適正使用ガイドは「積ん読」ではなく必読です。