セミプリマブ臨床試験データでのNLRの意義

Peripheral blood cells as prognostic markers in patients with advanced non-small cell lung cancer treated with cemiplimab as monotherapy or in combination with chemotherapy.

Acosta RJ et al.
Cancer Treat Res Commun. Epub 2025 Jul 11.
PMID:40700835.

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好中球/リンパ球比(NLR)が高い非小細胞肺癌(NSCLC)患者は予後不良である。他の免疫細胞の寄与に関するデータは限られている。本解析では、2つの大規模第Ⅲ相試験においてPD-1阻害剤セミプリマブを投与された進行肺癌患者におけるNLRおよびその他の末梢血液の予後的意義を評価した。全血球データを有する患者において、ベースラインでの免疫細胞が生存に及ぼす影響を評価した。Cox比例ハザード回帰およびカプランマイヤー法により、ベースライン血球数と生存率の関連性を評価した。データを訓練コホート(70%)と検証コホート(30%)に無作為に分割し、Coxモデルを独立して評価した。多変量解析により、高いNLR(ハザード比1.09[1.06-1.12], P<0.001)および単球数(ハザード比1.4[1.15-1.93], P<0.001)が死亡リスク上昇と強く関連することが明らかとなった。好酸球数が高いほど(ハザード比0.93[0.88-0.99]、P<0.001)、死亡リスクは低下した。独立したデータを用いた未見のテストセットにおける観察確率と予測確率のキャリブレーション曲線から、Coxモデルは1年死亡確率が約30%まで良好にキャリブレーションされていることが明らかになった。ハレルの一致指数は0.61であり、予測性能は中程度であることを示した。本データは高NLRが生存率に及ぼす有害な影響を確認するとともに、抗腫瘍反応における単球レベルの重要性を明らかにした。これにより、治療医は免疫療法レジメンの個別化やより正確な予後評価に有用な情報を得られる可能性がある。

感想
最近進行非小細胞肺癌に対してセミプリマブが認可されました。PD-L1高発現に対する単剤と、抗がん剤との組み合わせでペムブロリズマブと重複しています。ペムブロリズマブとセミプリマブ使い分けは不明でどこに優位性があるかもよくわかっていません。長期成績がわかっているのと偶然の可能性があるものの、扁平上皮癌に対する優位性があるかも知れないといったところです。
NLRによる予後の層別化は多数報告されていますが、ほとんどが後ろ向き研究です。それを今回取り上げたのは、臨床試験のデータセットでNLRの意義が確認できたためです。今回背景の均一な臨床試験のデータセットでNLRのカットオフポイントは3.98で既報とも一致します。対数好酸球(カットポイント=–2.13)、単球(カットポイント=1)とともに多数の因子を加えてノモグラムが作成されています。このノモグラムの存在もセミプリマブ使用の理由の一つになるかも知れません。ただNLRはあくまでも現象論で、なぜ免疫チェックポイント阻害薬の予後と関係するかの基礎的な解明は進んでいません。