Rebiopsy in advanced non-small cell lung cancer, clinical relevance and prognostic implications.
Scheffler M et al.
Lung Cancer. 2022 Jun;168:10-20.
PMID:35461051.
Abs of abs.
非小細胞肺癌の再生検は、主に(i)分子標的治療に対する対応可能な耐性変化の特定、(ii)最初の診断生検で検出されなかった新しい治療標的を特定するために行われている。再生検の価値を評価する総合的な分析はあまり行われていない。2つの大規模データベースを事前に指定された基準に従って検索し、前向きに登録された非小細胞肺癌のうち、病勢進行時に少なくとも1回の生検を行った症例を特定した。背景および遺伝子検索などのバイオマーカー所見と、臨床転帰を対照した。計17477人のⅣ期非小細胞肺癌から、原発巣または転移巣の再生検を少なくとも1回受けた評価可能な403人の患者コホート作成された。48.9%でベースラインからのバイオマーカープロファイルの変化が観察された。31.3%の症例で、治療に結びつく可能性が明らかになり、そのうちの18症例(4.4%)は、再生検でのみ検出されていた。新たな所見は、EGFR/ALK/ROS1の変異例においてより多く(50%以上)認められ、優勢ながん遺伝子変異、TP53変異、METまたはERBB2増幅があった。治療標的の有無(HR 0.28)、非存在(HR 0.20、いずれもp<0.001)にかかわらず、再生検を受けた患者は対照群と比較して全生存期間の延長していた。病勢進行時の再生検で、治療上有益な情報が高い確率で得られることが示唆される。現在の実地臨床で再生検は、予後の良い集団に偏って選択されており、今後は利益を受ける集団を特定する必要がある。
感想
ドライバー変異のあるものは再度意味のある標的が見つかる可能性があり再生検すべきという情報です。逆にドライバー変異がないものは再生検でも標的が見つかる可能性は低い(4.4%をどう考えるかで解釈が変わる。普通はまずないと判断するでしょう)とも言えます。症例数が少ないですがPD-L1の変化も検討されています。変わらない場合や上がったり下がったりと特定の傾向は見えませんでした。再生検で見つかる変異はEGFR/ALK/ROS1陽性例で、TP53変異、MET、ERBB2増幅と報告され、腫瘍抑制系の能力低下、バイパス経路の活性化が従来通り疑われるところです。このところは日本では組織、血清についてSCRUM-Japanで精力的にスクリーニングしてもらえるので、そのうちデータがまとまると思います。施設内で繰り返しゲノム解析ができる施設はそうすべきですし、それができない施設はSCRUM-Japanにできるだけ登録してこの流れについていくことが今できる最善と思います。特にEGFRは耐性化が多様で一剤で対処することは難しいです。リキッドでできれば一番よいですが、何らかの生検で新たなターゲットを見つけて薬をつなげていくという治療シークエンスが主流になるものと思われます。