Long-term survival with first-line nivolumab plus ipilimumab in patients with advanced non-small-cell lung cancer: a pooled analysis.
Borghaei H et al.
Ann Oncol.2023 Feb;34(2):173-185.
PMID:36414192
Abs of abs.
進行非小細胞肺癌に対しニボルマブ+イピリムマブの初回治療は化学療法に対して生存期間を延長した。今回は大規模プール解析で、このレジメンの有用性を強調し生存率に対する効果を評価した。ニボルマブ+イピリムマブの初回治療に関する4つの試験(CheckMate 227 パート1、817 コホートA、568 パート1、012)からデータをプールした。全生存期間、無増悪生存期間、奏効率、奏効期間、安全性が評価された。また6ヶ月の時点での奏効別、縮小した中での腫瘍負荷軽減別に生存期間をランドマーク解析した。最小追跡期間29.1~58.9ヶ月のプール集団(N=1332)における生存期間中央値は18.6ヶ月、3年生存率は35%、PFS中央値は5.4ヶ月(3年PFS率17%)であった。奏効率は36%、奏効期間中央値は23.7カ月、奏効したなかの38%が3年後も効果が持続していた。PD-L1が1%未満、1%以上、1%~49%、50%以上の患者において、3年生存率はそれぞれ30%、38%、30%、48%であった。組織型が扁平上皮、非扁平上皮別では3年生存率が30%、38%であった。75歳以上でも集団全体と同様であった(生存期間中央値20.1カ月、3年生存率34%)。プール集団では、ニボルマブとイピリムマブの併用療法で6ヵ月後に奏効が持続した患者は、病勢安定または進行した患者よりもランドマーク後の生存期間が長く、3年生存率はそれぞれ66%、22%、14%であった。腫瘍負荷軽減率が80%以上、50%から80%未満、30%から50%未満の患者では、3年生存率はそれぞれ85%、72%、44%であった。プールされた集団では、新たな安全性情報は確認されなかった。今回のこの大規模集団において見られた、初回治療のニボルマブ+イピリムマブによる長期生存と奏効持続は、進行非小細胞肺癌に対するこの治療法の選択をさらに支持するものとなる。
感想
免疫2剤であるニボイピのできる限りのデータを集めてみた結果です。印象としては「予測は立たないが、効けば良好な生存期間が得られる」です。巷で言われているのはKeynote-189レジメンでは分が悪そうなPD-L1陰性例に良いということですが、必ずしもそうとも言えないようです。全体として眺めるとPD-L1にはあまり依存しておらず、Sqで奏効率38.6%、non-Sqで34.7%。PFSが5.4ヶ月、1年PFSが33%であることから切れ味はあまり感じられないかも知れません。逆にPD-L1≧50%でも特に悪いわけでもなく、この集団の3年OSは48%、最近論文化されたKeynote-189のそれは43.7%でした[Garassino MC JCO2023 PMID:36809080]。その他縮小率が高いほど予後が良くなるデータを出していますが、投与前に判断できる材料はなく実地臨床での参考にあまりなりません。何回か講演会を聞いてみましたが、このChackMate 227あるいは9LAレジメンには施設間での格差が大きいようです。私は内分泌内科、神経内科にすぐ相談できる環境にならないと使う気にならないというのが正直なところです。