ラゼルチニブのuncommon変異に対する効果

Lazertinib for Patients with NSCLC Harboring Uncommon EGFR Mutations: A Phase II Multicenter Trial.

Park S et al.
J Thorac Oncol.2025 Sep;20(9):1279-1288.
PMID:40350080.

Abs of abs,
全EGFR遺伝子変異の10~20%を占めるuncommon mutationは、TKI反応性が低下すると報告されている。第3世代EGFR-TKIであるラゼルチニブは、common mutationに対して有効性が認められているが、uncommonは未解明である。本研究では、uncommonに対するラゼルチニブの有効性と安全性を検討した。単群多施設共同第Ⅱ相試験では、エクソン20挿入変異を除くuncommon mutationを有する進行非小細胞肺癌患者を登録し、疾患進行または許容できない毒性が認められるまで、ラゼルチニブ240mgを1日1回投与された。主要評価項目はRECIST1.1に基づく奏効率(ORR)であった。副次評価項目には無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効持続期間(DoR)、および安全性が含まれた。36例中、ORRは50.0%[34.5%-65.5%]、PR18例で主要評価項目を達成した。疾患制御率は88.9%[74.1%-96.2%]であった。主要uncommon mutation(G719X、L861Q、S768I)を有する患者では、ORRは54.8%(31例中17例)であった。PFS中央値は10.8ヶ月[4.4-19.2]、DoR中央値は15.1ヶ月であった。G719X変異では最も高い奏効率(ORR 61%、PFS中央値20.3ヶ月)が報告され、次いでS768I(ORR 60%)、L861Q(ORR 58%、PFS中央値9.5ヶ月)であった。治療関連有害事象は全例に発生し、グレード3以上の事象は33.3%であった。最も頻度が高かったのは発疹(47.2%)、掻痒感(36.1%)、筋痙攣(33.3%)であった。ラゼルチニブは、特にG719X、S768I、L861Qサブタイプにおいて、uncommonを有するNSCLC患者に対し有望な有効性と管理可能な安全性プロファイルを示した。今回の結果は、治療選択肢が限られているこの不均一な集団において、ラゼルチニブが有効な治療選択肢となり得ることを示唆している。

感想
現在uncommon変異に対してはアファチニブ>オシメルチニブという位置づけがなされています。他のTKIの獲得耐性としてのT790M陽性を証明しない限り、保険診療上初回治療でしかオシメルチニブは使えませんので、まず初回オシメルチニブを使う地域もあるかと思います。その中で第三世代ラゼルチニブを試す試験もあるわけです。本試験も含めてすべて表にしてみました。面倒なのはuncommonどうしの併存や、compoundとして他の変異を持っているものがあり、臨床試験の単純比較はただでさえご法度なのにさらに解釈が難しくなる点です。これらの限界を踏まえても、「それほど変わらない」という印象を受けます。期待されるのはサブ研究ではあるものの、アミバンタマブとの併用をCHRYSALIS-2(Cohort C)ですでに試されており、PFS19.5ヶ月と報告されています(ASCO2024)。実臨床上はこの組み合わせはすでに使えますので、uncommonに対して見切り発車的に使われているとも聞きます。私としては論文を見てしっかり考えたいと思います。