再発中皮腫に対するニボルマブ

Nivolumab versus placebo in patients with relapsed malignant mesothelioma (CONFIRM): a multicentre, double-blind, randomised, phase3 trial.

Fennell DA et al.
Lancet Oncol. 2021 Oct 14 Epub ahead of print.
PMID:34656227

Abs of abs.
プラチナ製剤による化学療法後に進行した胸膜/腹膜悪性中皮腫の生存率向上を示した第3相試験これまでなかった。本試験ではこのような患者に対するニボルマブの有効性と安全性を評価した。本試験は多施設共同、プラセボ対照二重盲検無作為化第3相試験でイギリス内24の病院で行われた。PS0か1で、組織学的に中皮腫が確認され、プラチナ製剤をベースとした初回化学療法を受けておりかつ画像で病勢進行が確認された患者を登録した。患者はニボルマブ240mgを2週間に1回投与する群とプラセボ群に割り付けられ、病勢進行または最長12ヵ月間投与する群に割り付けられた(2:1)。また上皮型と非上皮型の組織型によって層別化された。患者および主治医には、グループ割り付けはマスクされている。主要評価項目は、主治医判断の無増悪生存期間と全生存期間で、これらはITT解析された。割り付けされた全員が安全性集団に含まれている。2017年-2020年に332名の患者が候補となり、そのうち221名(67%)がニボルマブ群に、111名(33%)がプラセボ群に割り付けられた。観察期間中央値は11.6ヵ月で無増悪生存期間中央値は、ニボルマブ群が3.0ヵ月[2.8-4.1]であったのに対し、プラセボ群は1.8ヵ月[1.4-2.6]であった(ハザード比0.67[0.53-0.85];p=0.0012)。全生存期間中央値はニボルマブ群10.2ヵ月[8.5-12.1]に対し、プラセボ群6.9ヵ月[5.0-8.0]であった(ハザード比0.69[0.52-0.91]、p=0.0090)。主なグレード3以上の有害事象は、下痢(ニボルマブ群221例中6例[3%]、プラセボ群111例中2例[2%])および輸液関連反応(6例[3%]、なし)であった。重篤な有害事象は,ニボルマブ群では90名(41%),プラセボ群では49名(44%)に発生した.両群ともに治療関連死はなかった。本試験からニボルマブは、初回治療で進行した悪性中皮腫患者にとって有益であると考えられる。

感想
国内ではすでにMERIT試験[Okada M ClinCancerRes2019 PMID:31164373]の結果を受けて、2次治療でのニボルマブが認められていますが、国際的に確認されたのが本試験になります。MERIT試験はサンプルサイズが34人であり、今回は全体で10倍の数ですのでサブグループ解析でもある程度の方向性を探ることができます。層別化因子である上皮型か非上皮型かの比較ではPFSとOSともニボルマブの方向に振れており期待できます。OSに関して女性(79例)はほぼハザード比1であり免疫療法の全体的な傾向を示しています。中皮腫に対してPD-L1阻害薬が有効であることが再確認できたことも意義があります。しかし現在中皮腫の一次治療はニボルマブ+イピリムマブに移行しつつあるため、今後この試験の場面は減ってくると思われます。