多発か肺内転移かの鑑別アルゴリズム

A Novel Algorithm to Differentiate Between Multiple Primary Lung Cancers and Intrapulmonary Metastasis in Multiple Lung Cancers With Multiple Pulmonary Sites of Involvement.

Suh YJ et al.
J Thorac Oncol. 2019 Oct 18. [Epub ahead of print]
PMID:31634666

Abs of abs.
肺内に多発する肺癌において、原発性肺癌の多発(MPLC)と肺内転移(IPM)を鑑別することが重要である。今回は126人から252病変(126ペア)の外科切除された病変について検討した。それぞれのペアは組織学的にMPLCかIPMかに分類した。新しい鑑別アルゴリズムは、4段階に分けて設定した。ステップ1として、CTでの位置、ステップ2としてCT上の形態、ステップ3としてPET/CTでのSUV、ステップ4としてN2/3リンパ節転移または遠隔転移の存在を考え、アルゴリズムの正確性を検討した。アルゴリズムの存在を知る、知らない状態の11人の評価者によるパフォーマンスを見た。126ペアのうち90(71.4%)がMPLCとされ、36(28.6%)がIPMsと考えられた。アルゴリズムをステップ4まで通すと、正診率は88.9%、ステップ1までで65ペア、ステップ2までで44ペアの正診が得られた。IPMについてアルゴリズムを用いると、使用しない場合に比べて特異度と陽性的中率が増加した。本研究から臨床情報および画像による総合情報によって作られるアルゴリズムによってMPLCsとIPMsの鑑別が可能となった。CTにおいてsolid優位でspiculationがない、あるいはエアブロンコグラムがない場合にIPMが考えられる。

感想
臨床的に非常に難しい問題を扱っています。手術適応もしくは根治的放射線照射を考える場合、小さい肺内結節をdouble primaryか転移か、そもそも悪性かどうかを判断するのは非常に難しいことがあります。PETをとっても悪性かどうかすらわからず「疑わしきは罰せず」の方針でいくこともありますし、結局術中に決めたり様々な方針が取られます。今回のアルゴリズムは、ほぼ経験的にわかることが述べられていますが、可視化したという点で評価できると思います。今後画像も含め自動診断になり、各結節が持つ悪性確率、転移確率などもいずれ数値化される時代が来るでしょう。