Clinicopathologic Significance of False-Positive Lymph Node Status on FDG-PET in Lung Cancer.
Endoh H et al.
Clin Lung Cancer. 2021 May;22(3):218-224.
PMID:32654926.
Abs of abs.
PETは,肺癌の病期診断に適した診断法である。しかしPETによるリンパ節転移の正確な評価は,FDGの偽陽性があるために議論となっている。今回は245人の肺癌患者を後ろ向き解析した。原発およびリンパ節のSUVmaxを病理学的なリンパ節転移と比較し、PETの所見を病理と転帰を相関させた。転移したリンパ節のSUVmax値は、転移でないリンパ節よりも有意に高かった(P=0.0036)。SUVmax≧4をPETによる転移陽性と定義した場合、感度、特異度、正確性はそれぞれ48.1%、79.8%、73.1%であった。多変量ロジスティック回帰分析の結果、75歳以上であること、両側の肺門にFDGの取り込みがあること、リンパ節の腫れがないことは、リンパ節転移の偽陽性に関連する有意な因子であった。喫煙状況、原発巣のFDG取り込み、肺疾患の併発は有意な要因ではなかった。転移性リンパ節は偽陽性リンパ節よりも高いFDG取り込みを示し,患者の年齢が高いこと,両側の肺門FDG取り込み,リンパ節の腫れがないことは転移がないことと関連していた。リンパ節転移のある患者は、FDG-PETの偽陽性所見のある患者よりも生存率が悪い。しかし、リンパ節へのFDGの異常な取り込みは重要な予後因子である。
感想
縦隔リンパ節が転移かどうか悩ましい時があります。「疑わしきは罰せず」として対応することが多いですが、PETをとってもさらに悩ましい場合もあります。EBUS-TBNAでも陰性の確定にはならず今後もついて回る問題です。今回のように両側対称であるとか、サイズが大きくないということはすでに日常臨床で判断材料となっています。はっきりと検討した資料がないということで掲載されたのでしょう。この2点に加え高齢が偽陽性の因子となっていることは勉強になりました。この偽陽性のリンパ節転移が予後に関係するかどうかは定説がなく、著者らは真陽性より予後良好と判断しています。検索したところ逆に予後が悪いとする論文[Kim KY InVivo2021 PMID:33910869]もあり、今のところ何とも言えません。