T4診断におけるEBUSとCT

Endobronchial ultrasound for T4 staging in patients with resectable NSCLC.

Kuijvenhoven JC et al.
Lung Cancer. 2021 Aug;158:18-24.
PMID:34098221.

Abs of abs.
肺癌において縦隔および大血管への腫瘍浸潤(T4期)を正確に評価することは、治療を最適化し、不必要な手術を防ぐために重要である。今回は中心部に位置する肺癌患者のT4に対するEBUSの診断精度を評価した。本研究は、2012年から2019年の間に、オランダの4病院で、肺癌診断と病期決定のためにEBUSを受けた連続症例を対象とした。EBUSで原発腫瘍が検出され、その後病理学的病期分類が行われた患者を対象とし、この病理を基準とした。EBUSと病理所見からT4であることを拾い上げ、胸部CTを再検討した。EBUSで原発腫瘍が検出され、その後、外科病理のステージングを受けた104名を対象とした。36名(35%)の患者がT4であり、それぞれ大血管(n=17)、縦隔(n=15)、血管と縦隔の両方(n=3)、食道浸潤(n=1)であった。EBUSでは、T4に対する感度、特異性、陽性的中率、陰性的中率は、それぞれ63.9%、92.6%、82.1%、82.9%であった(n=104)。胸部CT(n=72)では、それぞれ61.5%、37.0%、35.6%、63.0%であった。CTとEBUSともにT4の場合(n=33):それぞれ90.9%、77.3%、66.7%、94.4%であった。EBUSもCTも単独ではT4を評価するには不正確である。しかし、EBUS陰性とCT陰性を組み合わせることで、T4を除外できる可能性が高くなることが示唆される。

感想
内視鏡の研究は特有の難しさがあります。この研究も結果として手術した人が対象となるので、明らかにEBUSあるいはCTでT4で対象外とされてしまった人の中に、ひょっとしたらT4でない人がいた可能性は否定できません。そのような人を母数に組み入れることができないため疑わしい症例の真のEBUS/CTのT4を否定できる確率がわかりません。微妙な症例を前向きに集めるのも定義が難しく、また術者の技量にも左右されます。このあたりが内視鏡研究で正診率をエンドポイントに置く研究の特有の難しさです。それでも本研究からは、CTで怪しい場合はEBUSで確かめるという方針がある程度頼りになることを示しています。