ペムブロリズマブ3週から6週間隔への変更でirAEが増える可能性

Safety Implications of Switching Pembrolizumab Dosage From 200 mg Every 3 Weeks to 400 mg Every 6 Weeks in Patients With Advanced NSCLC.

Higashiyama RI et al.
J Thorac Oncol. 2022 Oct;17(10):1227-1232.
PMID: 35788404.

Abs of abs
ペムブロリズマブ400mgの6週毎投与(400mgQ6W)は、薬物動態モデルシミュレーションと曝露-反応解析の結果に基づき承認された。しかし200 mgを3週間ごと(Q3W)の治療を行っている時に400mgQ6Wに変更することの安全性はよくわかっていない。今回は、2020年8月から2021年11月の間に、ペムブロリズマブの用量を200 mgQ3Wから400mgQ6Wに切り替えた進行非小細胞肺癌患者45人を対象とした。切り替え時の年齢中央値は71歳(32~84)、男性32例(71.1%)であった。切り替え前の200mgQ3Wの投与サイクル中央値は6サイクル(1~31)であった。切り替え後、3サイクル以内に45例中17例(37.8%)にirAEの新規発生または増悪が認められた。内訳は、肺臓炎11例(24.4%)、下痢3例(6.7%)、腎機能障害2例(4.4%)、副腎不全2例(4.4%)、皮疹1例(2.2%)、劇症型1型糖尿病1例(2.2%)であった。ペムブロリズマブの用量を200mgQ3Wから400 mgQ6Wに切り替えたことにより、200mgQ3Wで安定していた患者においても、変更後早い時期にirAE、特に肺臓炎の新規発生や増悪がみられた。

感想
免疫チェックポイント阻害薬の普及により、どこの病院でも通院化学療法室が混雑が激しくなっています。そんな中で少しでも間隔が空けられる6週倍量投与は魅力的に見えます。本文でも述べられているように、さしたる臨床試験もないまま6週間隔が認可されたことに違和感を覚えた医師も多いでしょう。今回は安全性に一石を投じており、仮に安全性に問題がなかったのであれば、JTOに載ることもなかったのかもしれません。周知の通りirAEはいつでも起こりうるため、用量がそのままであってもirAEが時間経過で起こっていた可能性は否定できません。しかしFig1Aを見ると、18コース通常量で打てていた人が2コースで肺臓炎を発症したり、やはり増量が悪さをしたような印象を受ける症例もあります。気になるその後ですが補遺Fig2を見ると、継続している症例もありますがほとんどは中止しているようです。6w間隔への変更は同じような報告が出ないかどうかもう少し待ってみようと思っています。