The effect of tumor size and metastatic extent on the efficacy of first line pembrolizumab monotherapy in patients with high PD-L1 expressing advanced NSCLC tumors.
Schakenraad A et al.
Lung Cancer. 2021 Dec;162:36-41.
PMID:34666276.
Abs of abs.
非小細胞肺癌(NSCLC)において、腫瘍の大きさと転移の広がりの程度は、免疫療法に対する腫瘍の反応性に影響を与える可能性がある。本研究の目的はベースラインの最長径の和(bSLD)、転移臓器数(NMO)とペムブロリズマブの奏効との関係を検討することとした。副次項目としては、ベースラインのSLDおよびNMOと無増悪生存期間および全生存期間との関連とした。今回の後ろ向き研究は、PD-L1高発現(≧50%)およびPS2以下で、初回治療としてペムブロリズマブ単剤を受けた患者を対象とした。奏効はSLD変化スコアと治療開始3カ月以内の早期治療中止(ETD)を基準として評価した。bSLD( RECIST v1.1に基づく)とNMOの両方について奏効とPFS/OSとの関係を評価した。bSLDを用いた場合(オッズ比1.010[0.999-1.021] )、ベースラインのNMOを用いた場合(オッズ比1.608[0.943-2.743] )、SLD変化スコアに有意差は認められなかった。bSLDのカットオフ値を90mmにするとETD有無を捉えることができた。このカットオフ値はPFS(ハザード比2.28[1.12-4.64], p=0.023)とOS(ハザード比2.99[1.41-6.34], p=0.004)においても有意差を示していた。NMOでもPFSとOSに差がみられたが、有意差ではなかった。今回の結果から腫瘍の大きさと転移の広がりの程度では腫瘍の奏効を識別できないが、bSLDが90mmを境にPFSとOSが区別されることが知られた。
感想
今回の症例数は52例と少ないです。ただこれまで繰り返しICIの効果予測因子の候補とされた
年齢、アルブミン、LDHや肺転移、骨転移、脳転移、肝転移について補正がされています。したがって純粋に腫瘍径(合計)と転移臓器数と予後との関連を見た研究と言えます。新規性としては弱いですが、腫瘍負荷を簡単に推定する方法を確認できたことに意義があるのではないかと思います。ベースラインの腫瘍径のカットオフ値として90㎜を採用していますが、この数字は確定的ではなく、やはり大きいものは効きにくい程度に捉えた方がよいでしょう。そもそも免疫による癌細胞の排除は、複製エラーに基づく異常細胞の排除を目的としています。そうであればあまり大きな細胞の塊の排除が得意であるはずがなく、他の条件が同じならば小さいものに対する効果の方が大きいはずです。そのような考え方で行くと抗がん剤+放射線後の地固めの使用が一番理にかなっていることになります。また抗がん剤+免疫療法も理にかなった治療法ということになります。
さて本年も最後となります。以前お話ししましたように、急激に仲間が減っている状態で来年は厳しい状況が予想されます。コロナ禍も収まればよいのですが、どうなるのでしょうか。