Comprehensive Genomic Profiling of Rare Lung Tumors: Adenosquamous Carcinoma and Pulmonary Carcinosarcoma.
Zhou T et al
J Thorac Oncol. 2025 Nov;20(11):1716-1721.
PMID:40721085.
Abs of abs,
2025年においても、肺癌は男女ともにがん関連死の主要な原因であり続けている。免疫療法や分子標的治療により非小細胞肺癌治療は革命的な進展を遂げたが、腺扁平上皮癌や肺癌肉腫などの稀な組織型に対する治療法は、分子プロファイリングに関するデータが不十分なため依然として不十分である。このように標的療法の治療法選択のための稀な腫瘍の分子特性に関する知見が切実に求められている。今回はCaris Life Sciencesとの共同研究による新しい分子プロファイリングデータ(ゲノム解析、トランスクリプトーム解析、および免疫療法に対する反応を予測する代替バイオマーカーの現状を含む)を示す。これは腺扁平上皮癌や肺癌肉腫に対する免疫療法の反応予測に資するものであり、これらの稀な腫瘍に関する知識の拡大と新規治療法の迅速化に貢献するものである。
感想
ガイドラインが整備され多くの肺悪性腫瘍に対しては適切な治療選択が可能となっています。しかしまだ狭間に落ちている事象は多く見られます。また組織型、分子プロファイルが精密にわかるようになると一括りにできなくなる事態も起こってきます。その昔非小細胞肺癌で一括されていた治療も確実に細分化されており、主治医によっても細かさが異なります。今回は腺扁平上皮癌と肺癌肉腫について分子プロファイルの詳細を報告しています。腺扁平上皮癌で多いのはTP53変異で、次いでKRAS G12C、G12Dでした。EGFR遺伝子変異も13.8%ありました。METex14も7.7%、BRAF変異も2.4%に見つかっています。肺癌肉腫はTP53変異が87%と最多、RB1とKRASが続きます。これらのことから今やどんな組織型であっても遺伝子パネル検査を省略する選択はないということです。PD-L1発現については、強陽性が腺扁平上皮癌で35%、癌肉腫で22%でした。ほぼ非小細胞肺癌全体と遜色なく特徴的な高低はないように見えます。