術前治療後の手術不能例、ICI+Chemo→Chemoradiationは肺臓炎リスクをあげるか

Definitive Radiotherapy With or Without Chemotherapy After Planned Neoadjuvant Chemoimmunotherapy in Stages Ⅱ to Ⅲ NSCLC: An International Multicenter Retrospective Study.

Adib E et al.
JTO Clin Res Rep. 2025 Dec 29;7(4):100949.
PMID:41852936

Abs of abs,
臨床試験において術前化学免疫療法を受けた切除可能非小細胞肺癌の約15-20%は、疾患進行、毒性、医学的禁忌により手術に進めなくなる。この集団における根治的放射線療法の安全性および有効性は不明である。2サイクル以上の術前プラチナ製剤ベースの化学免疫療法を受けた後、予定されていた手術の代わりに根治的放射線療法を受けたⅡ期・Ⅲ期の患者を対象とした、国際共同後ろ向き研究を実施した。主要評価項目は肺臓炎の発生率であり、副次評価項目には無増悪生存期間、全生存期間、治療関連有害事象である。57名の患者を同定し、そのうち54名(90%)がⅢ期であった。根治的放射線療法が選択された理由は、手術可能であること(n=38、67%)が多く、次いで新たに生じた医学的禁忌(n=15、26%)、患者希望(n=3、5%)、画像上の完全奏効(n=1、2%)であった。10名の患者(18%)に肺臓炎が認められ、そのうち6例(10.5%)がグレード3/4、1例(2%)はグレード5であった。化学療法併用あるいは地固め療法の有無による違いは見られなかった。ほとんどの患者(n=36、63%)が術前療法に対してPRを示した。追跡期間中央値17ヶ月において、無増悪生存期間の中央値は16.1ヶ月[12.2-未達])であり、全生存期間の中央値は未到達であった。1年OS率は81%[70-94])であった。医学的禁忌により放射線療法(放射線療法)を受けた患者では、外科的切除が可能であった患者と比較してPFSが長かった(30.3ヶ月[16.1-未達]対12.2ヶ月[7.6-未達];p=0.037)。同時化学療法(p=0.64)や地固め療法(p=0.12)によるPFSの差は認められなかった。根治的放射線療法後に病勢進行を認めた27例のうち、最も頻度の高い転移部位は肺(n=19、70.4%)であり、次いでリンパ節(n=8、29.6%)、骨(n=5、18.5%)の順であった。術前化学免疫療法後の根治的放射線療法は、予定された手術を受けられない患者において、有望な有効性と安全性を示した。この治療困難な患者群の転帰を改善するためには、適した放射線療法のアプローチおよびバイオマーカーの開発に焦点を当てた前向き研究が必要である。

感想
非常に実地に即した論文です。今や術前治療が標準になっていますが、手術できたものができなくなる可能性は最も嫌がられるものです。プラチナ2剤+免疫療法による強力な術前治療が奏効しないこと自体、予後不良を示しており、術前治療期間中に手術不能になる進行を示すものは、手術してもすぐ再発は必至です。当然手術できなくなるのは非常に印象が悪くなり避けたいところです。しかし実際に起こってしまった場合どうするかについてはよくわかっていません。
胸部RT→ICIという試験はいくつもありますが、ICI→胸部RTという試験はあまりありません。言うまでもなくICIはその影響が長く残り続けることがあり肺臓炎のリスクは十分に検討されていません。背景の異なる集団とは言え10%が肺臓炎になったことは無視できないリスクと言えます。化学療法併用あるいは地固め療法の有無による違いは見られなかったことから、術前に入れたICIが影響する可能性が高そうにも思えます。生存に関しては比較対象がなく、術前治療に反応しなかった予後の悪い症例も入るのでなんとも言えません。少なくとも無効であることはなく、検討されても良い治療法であることは言えると思います。