Prognostic role of modified Glasgow Prognostic score in elderly non-small cell lung cancer patients treated with anti-PD-1 antibodies.
Tanaka T et al.
Respir Investig. 2023 Jan;61(1):74-81.
PMID:36460585.
Abs of abs
高齢進行非小細胞肺癌において、免疫老化関連スコアがPD-1阻害薬の重要な予後予測因子となるかどうかを検討した。2015年12月~2019年4月にニボルマブまたはペムブロリズマブによる治療を受けた75歳以上の進行非小細胞肺癌患者51例を検討した。修正グラスゴー予後スコア(mGPS)、好中球リンパ球比(NLR)、チャールストン合併症指数(CCI)などの因子を用いて免疫老化について評価した。奏効率は25.4%[14.3-39.6]、病勢コントロール率は52.9%[38.5-67.1]あった。高mGPS(スコア2)は低mGPS(スコア0-1)と比較して低DCRと関連していた(26.0%対54.0%、p=0.03)。しかしながらどのスコアも奏効率と有意な関係とならなかった。高mGPSは、無増悪生存期間中央値(4.2ヶ月 対 12.7ヶ月、p<0.01)および全生存期間中央値(4.8ヶ月 対 28.1ヶ月、p=0.03)の短縮と有意に関連していた。しかし、CCIもNLRも予後とは関連しなかった。多変量解析ではmGPS高値が生存期間の有意な因子であった(ハザード比0.31[0.13-0.71]、p<0.01)。本検討から進行非小細胞肺癌でPD-1抗体で治療した場合、mGPSスコアが高いと、病勢コントロール率、PFS、OSが有意に不良となった。
感想
mGPSはCRP1以下かつAlb3.5以上をスコア0、両者とも満たさないものをスコア2、その他をスコア1と定義します。NLRは周知のとおり好中球数/リンパ球数です。年齢中央値は79歳、初回治療が54%ですが4ライン以上も11%あり、予後はきわめて限られる集団です。全体のPFSは4.2ヶ月、OSが12.7ヶ月でした。今回は国立がん研究センターのデータであり、一般の施設でやったらOSは1年を超えないと思います。奏効率についてはmGPS、NLRの高い低いでP<0.05とならず、DCRでP<0.05でした。Fig1、2ではmGPSでPFS、OSが大きく差がつくことが示されています。これまでNLRについては多くの論文が上がっていますが、差の程度においてNLRよりmGPSの方が良さそうでかつ日本人で示されたところが貴重と思います。特に高齢者において実証された点が実臨床に役立つところです。ただmGPSが免疫療法の利益を予測するのかどうかはランダム化試験をしてみないとわかりません。あくまでも予後の良さそうな集団を見分ける一助となるに過ぎません。