The CT Scan after 50 years – Continuity and Change.
Howell JD.
N Engl J Med.2021 Jul 8;385(2):104-105.
PMID:34233106.
感想
CTができて今年で50年になります。本記事は”perspective”として掲載されています。CTが最初頭部しかなかったことは知っていましたが、最初の症例が41歳女性の前頭葉腫瘍で、テニスで有名なウインブルドンで、ビートルズで有名な会社(EMI)により製造されたことから始まっています。その少し前まで病気の本態はよくわかっておらず、病気は体液不均衡により起こると考えられていたようです。しかし聴診器の開発から病気が体の構造変化としてとらえられるようになり、症状がなくとも病気である可能性が認識されてきます。X線撮影も病態解明に変革を導きましたが、骨に阻まれ脳の画像はつくれませんでした。しかしそれを3次元構成することにより脳の画像が見れるようになりました。そこにコンピューターの処理能力の向上があったことが欠かせません。最初のCTは撮影に4.5分、再構成に20分かかっていました。言うまでもなく最近は一瞬で全身のCTの結果が得られるようになっています。しかし一方で情報量が莫大となり、医療費も膨れ上がっています。最初CTの市場は25台と推定されていたというのも驚きです。
著者はCTも含め、現在は情報量が増えすぎており、見つけた病変が患者にとって役に立つのか、あるいはほとんど役に立たないのかを見分けていくのがより仕事として重要となると言います。確かに検査はいくらでもオーダーできますが、返却された情報をすべて生かしているでしょうか。情報量が増えれば増えるほどまた医学の基本に立ち返ることも大切でしょう。資料にある初期のCTのプリントアウトは、なんとなく原理がよくわかる感じで味があります。機械の仕組みにまだ手の届いた頃を思い出させます。