Amivantamab plus Chemotherapy in NSCLC with EGFR Exon 20 Insertions.
Zhou C
N Engl J Med. 2023 Oct 21. Epub ahead of print.
PMID:37870976.
Abs of abs.
アミバンタマブは、EGFRエクソン20挿入変異を有する進行非小細胞肺癌で、プラチナ製剤ベースの化学療法後に進行した患者の治療薬として認可されている。アミバンタマブとカルボプラチン-ペメトレキセドの併用療法の安全性と抗腫瘍活性が第1相試験で示されている。この併用療法に関する追加データが求められている。第3相国際共同無作為化試験では、EGFRエクソン20挿入変異を有する未治療患者を、アミバンタマブ静注+化学療法(アミバンタマブ-化学療法)または化学療法単独に1:1の割合で割り付けた。主要評価項目は、中央判定による無増悪生存期間とした。化学療法群に割り付けられ病勢進行の場合、アミバンタマブ単剤へのクロスオーバーが認められている。計308例(153例がアミバンタマブ-化学療法群、155例が化学療法単独群)が割り付けられた。無増悪生存期間は、アミバンタマブ-化学療法群が化学療法群よりも有意に延長(11.4ヵ月対6.7ヵ月;ハザード比0.40[0.30-0.53];P<0.001)。18ヵ月無増悪生存率は、アミバンタマブ-化学療法群で31%、化学療法群で3%であった;奏効率は73%と47%であった。全生存期間の中間解析(33%成熟)では、化学療法と比較したアミバンタマブ-化学療法のハザード比が0.67[0.42-1.09];P=0.11)であった。アミバンタマブ-化学療法に関連する主な有害事象は、可逆的な血液学的およびEGFR関連の毒性で、7%が有害反応によりアミバンタマブを中止した。アミバンタマブ-化学療法は、EGFRエクソン20挿入変異を有する進行非小細胞の初回治療として、化学療法単独と比較して効果が上回っていた。
感想
アミバンタマブは静注薬です。以前に行われた化学療法増悪後を対象とした単剤の第1相試験で、完全奏効を含む40%の奏効率、PFS8.3ヶ月を示し期待されていました[Park K JCO2021 PMID:34339292]。今回はこれにカルボプラチン+ペメトレキセドを上乗せした試験です。結果はPFS11.4ヶ月とまあまあの結果でした。現時点でExon20挿入変異に対しては劇的な効果を示す薬がないので一応ひと段落といったところでしょうか。
問題は毒性とスケジュールで、ある程度の血液毒性は仕方ないとしてもinfusion reactionが42%に見られたのは、実臨床で注意すべきことです。CTCAE v5.0による「注入に伴う反応」(10051792)では、グレード1が点滴の中断なし治療無しで、グレード2が中断または抗ヒスタミン薬などによる治療に速やかに反応し後治療を要さない、グレード3が遷延して入院を要するとあります。外来化学療法ではグレード2か3か即座に判定できない場合も想定されます。
投与スケジュールはアミバンタマブは最初の4週間は毎週かつ初回は2日に分けて入れます。カルボプラチン+ペメトレキセドは3週毎、3サイクル目からはアミバンタマブ増量もした上で3週毎投与になり非常に煩雑です。クリニカルパスによる管理になるのでしょうが、最初のうちはアミバンタマブと抗がん剤のペースが合わず、また3サイクル目からは合わせるという形になり厳重なスケジュール管理が必要となります。骨髄抑制などで投与間隔を延ばす場合も考えると管理が難しくなり混乱します。もう少しやりやすい形で実地臨床に下りてくることを願うばかりです。