ICIでPD後の血管新生阻害薬追加

Bevacizumab Plus Atezolizumab After Progression on Atezolizumab Monotherapy in Pretreated Patients With NSCLC: An Open-Label, Two-Stage, Phase 2 Trial.

Lee J et al.
J Thorac Oncol. 2022 Apr 12:S1556-0864(22)00193-9.
PMID:35427805.

Abs of abs.
血管内皮増殖因子は、免疫抑制方向へ腫瘍微小環境を促進するが、抗血管新生治療によりまき戻すことが可能である。今回はアテゾリズマブ単剤治療で病勢進行した非小細胞肺癌を対象としてベバシズマブを追加投与した際の治療効果を検討する2段階の第2相試験を行った。EGFR/ALK変異陰性、プラチナ製剤治療を1ライン以上行った後に病勢が進行した免疫チェックポイント阻害剤未使用の患者を対象とした。第一段階として、まず画像上の進行までアテゾリズマブ1200mgを3週間に1回投与した。その後第二段階として、ベバシズマブ15mg/kgを3週間に1回併用、上乗せした。主要評価項目は、第二段階の病勢コントロール率(DCR)とした。第一段階は42例、第二段階は24例が登録された。ほとんどの患者はPD-L1陰性で(71.4%)、1ラインまたは2ラインの前治療を受けていた(95.2%)。第一段階でのDCRは35.7%[21.6-52.0]であった。第二段階では、24例中3例(12.5%)でPR、18例(75.0%)でSDが得られ、DCRは87.5%[7.6-97.3]となった。第二段階での無増悪生存期間中央値は5.6ヶ月[4.1-7.1]、全生存期間は14.0ヶ月[10.7-17.4]であった。有害事象は、第一段階で25%に見られたがグレード1、2であった。アテゾリズマブ単剤療法後のベバシズマブ+アテゾリズマブ併用療法は、有望な抗腫瘍効果と忍容性を有することが知られた。

感想
シンプルかつ分かりやすいデータです。これまでICIと血管新生阻害薬の併用効果は基礎的にも臨床的にも検討されてきました。今回の研究で一番大事な成果は「アテゾリズマブPD後にベバシズマブを上乗せした場合、1割強に奏効が見られる」点です。最初からICI vs ICI+BEVでランダム化すると奏効率に有意差があってもわずかであれば大きな症例数が必要ですし、未知の因子の関与の可能性を排除できません。その点今回はいったんPDになった後に追加しており、まさに血管新生阻害薬の追加による効果と言えます(pseudo-progressionの可能性をいうのは意地悪でしょう)。DCRを基にしたデザインになっていますが、奏効例が複数あればDCR(良い結果ではありますが)など付け足しに過ぎません。もちろん単アームでの結果なのでOS延長が見られるか、ベバシズマブの上乗せは最初から必要かについては今後の課題です。