Durvalumab With or Without Tremelimumab in Combination With Chemotherapy in First-Line Metastatic NSCLC: Five-Year Overall Survival Outcomes From the Phase3 POSEIDON Trial.
Peters S et al.
.J Thorac Oncol. 2024 Sep 5 Epub ahead of print.
PMID:39243945.
Abs of abs,
EGFR/ALK野生型非小細胞肺癌を対象にした第3相POSEIDON試験の初回解析(全群の追跡期間中央値34.9ヵ月)では、トレメリムマブ+デュルバルマブ+化学療法(T+D+CT)が化学療法に対して有意に全生存期間を改善した。D+CTはCTに対してOS改善傾向であったが有意差には至らなかった。 今回は事前に規定した長期フォローアップ(中央値5年以上)後のOS報告である。 1013例の患者をT+D+CT群、D+CT群、CT群に無作為に割り付け(1:1:1)、PD-L1発現(50%以上対50%未満)、病期(IVA対IVB)、組織型(扁平上皮対非扁平上皮)で層別化した。全群での追跡期間中央値63.4ヵ月後、T+D+CTはCTに対して持続的なOS改善を示した(ハザード比=0.76、[0.64-0.89];5年生存率 15.7%対6.8%)。 D+CTによるCTに対するOSの改善(ハザード比0.84、[0.72-1.00]、5年生存率13.0%)は、主要解析と一致していた。 T+D+CTとCTにおけるOS改善効果は、扁平上皮癌(ハザード比0.85[0.65-1.10])よりも非扁平上皮癌(ハザード比0.69[0.56-0.85])で強かった。 T+D+CTとCTのOS改善効果は、PD-L1=1%未満の患者を含め、PD-L1発現に関係なく明らかにあり、STK11変異(非扁平上皮癌)、KEAP1変異、KRAS変異(非扁平上皮癌)でも明らかであった。 新たな安全性情報は確認されなかった。 本解析により中央値で5年以上の追跡調査後、T+D+CTはCTと比較して持続的な長期OS改善効果を示し、治療が困難な患者サブグループを含め、進行非小細胞肺癌の初回治療としての使用を支持する。
感想
今一つの成績のPOSEIDONレジメンですが、長期的な成績での期待も一部ありました。今回の報告は5年生存についての報告で、主にOSの議論ができます。この試験のプライマリーエンドポイントとαリサイクルについての設定は過去記事で言及しています。そして扁平上皮癌と非扁平上皮癌を混ぜて解析しているので、組織型間での効力差が出る可能性があります。第一報では扁平上皮癌のサブセットがあまりよくなかったということなので、非扁平上皮癌のサブセットについて見てみます。レジメン選択をする臨床医への情報提供として比べるべきはKEYNOTE-189です。しかし本文中にこの言及がないのは個人的に不満が残ります。横比べはご法度と重々承知していますが、あえて表にまとめました。有害事象は言うまでもなくPOSEIDONの方が強いです。残念ながら現時点でこのレジメンを選択する理由はほぼ無いと考えます。最後の方にICI抵抗性とされるKEAP1やSTK11変異陽性(治療困難なサブグループ)で割と良かったことが書かれています。期待はできますが他のICIレジメンで十分に検討されておらず、結論を出すには至りません。
これらの変異を有する症例に対する第Ⅲ相試験(POSEIDON vs KEYNOTE-189:NCT06008093)が計画されているようです。プライマリーエンドポイントはKRAS、KEAP1、STK11陽性のOSと、後者2者だけのOSとのことです。KRAS陽性でICIの効果は高いことが知られているので、KEAP1、STK11陽性だけにしてシンプルにした方が結果が出やすいだろうと思います。余計なお世話ですが、KRASが多く入ると差が危なくなるし、少なくし過ぎると色々言われるでしょう。ですのでそれぞれの変異は33%を上限にしています。それでも最低KEAP1、STK11の優位性は示したい、そのためプライマリーエンドポイントを分けたのだと思います。さらにαをどう振ってあるかも見どころの一つです。私の邪推が入ってしまいましたが、結果を待つこととします。