Osimertinib compared docetaxel-bevacizumab as third-line treatment in EGFR T790M mutated non-small-cell lung cancer
Nie K et al.
Lung Cancer. 2018 Jul;121:5-11.
PMID:
Abs of abs
EGFR-T790M変異のある非小細胞肺癌に対する3次治療としてのオシメルチニブとドセタキセル+ベバシズマブの有効性と毒性を比較した。今回のオープンラベルphaseⅢ試験では、TKI-化学療法または化学療法-TKIにて再発進行した非扁平上皮肺癌患者をランダムに1:1にオシメルチニブ(80mg/日)あるいは、ドセタキセル(75mg/m2)+ベバシズマブ(7.5mg/kg)を21日毎に投与する群に割り付けた。患者は、腫瘍組織または血清によってT790M獲得耐性であることが確認されている。治療は疾患進行、毒性が許容できなくなる、または死亡まで続けられ、プライマリーエンドポイントは無増悪生存期間(PFS)とし、副次評価項目は奏効率、毒性および全生存期間(OS)である。合計147人の患者が治療され、オシメルチニブ群には74名、ドセタキセル-ベバシズマブ群には73名が割りつけられた。無増悪生存期間は、ドセタキセル-ベバシズマブ群で2.95ヵ月であったのに対し、オシメルチニブ群では10.20ヵ月であった(ハザード比0.23[0.12-0.38];P<0.001)。ドセタキセル-ベバシズマブ群よりも、オシメルチニブ群の奏効率が有意に良好であった(61.6%対8.3%;p<0.001)。ドセタキセル – ベバシズマブ群のすべての患者がオシメルチニブにクロスオーバーしているためか、最終追跡時の全生存期間中央値に有意差はなかった(ハザード比0.79[0.38-1.61];P=0.551)。主なグレード3、4の毒性はオシメルチニブ群で下痢(2.7%)、間質性肺炎(1.4%)、ドセタキセル+ベバシズマブ群で脱毛(15.3%)、好中球減少(9.7%)、悪心(8.3%)であった。本試験におけるT790M陽性進行非小細胞肺癌患者に対するオシメルチニブ投与は、3次治療においてドセタキセル-ベバシズマブよりも高い奏効率とPFS延長を示し、副作用が軽度という結果であった。
感想
これまで第一世代TKIとベバシズマブ上乗せの比較試験はありますが、第一世代TKI耐性、T790M陽性例に対するドセタキセル+ベバシズマブとオシメルチニブの比較は今までありません。結果は予想通りですが、存在意義がないわけではなく、確認の意味で意義のある比較試験かと思います。気になる点として、登録時に脳転移がどれくらいあったのか、そもそも許容されていたのかは本文から読み取ることができません。また3次治療でドセタキセル用量が75㎎/㎡で投与し、グレード3,4の好中球減少がわずか9.7%と不可解な点は残ります。ただ結果は類似試験通りで、PFSはかなりの差が開きますが、クロスオーバーによりOSは変わりませんでした。この差はDel19、L858Rとも同じでした。ちょうど第一世代TKIをいつ入れるかの議論に似ています。つまり第一世代TKI耐性獲得後、T790M陽性例に関しては、どこかの時点でオシメルチニブをいれれば良いという結論になります。ただ毒性を考慮すればオシメルチニブが有利なのは明らかでしょう。先週に読んだEGFR-TKIよりも先に抗がん剤をした方が良いかもしれない[Okamoto I LungCancer2018 PMID:29496250]と合わせて考えると、抗がん剤→第一世代TKI→(再生検T790M陽性なら)オシメルチニブの流れが、現在のベストシークエンスかもしれません。今後は、現在開催中のASCO2018で発表されるNEJ009の結果をどう考えるか、試験デザインなど含め議論が巻き起こるでしょう。最近の傾向として、免疫療法でもTKIでも、良いものをまとめて早いラインで入れてしまう併用療法が中心になって行くように思われます。しかし重厚な治療に取り残される患者が相対的に増えていくのが気がかりです。