TKI使用後T790M陰性に対するオシメルチニブ

A phase II study (WJOG12819L) to assess the efficacy of osimertinib in patients with EGFR mutation-positive NSCLC in whom systemic disease (T790M-negative) progressed after treatment with first- or second-generation EGFR TKIs and platinum-based chemotherapy.

Takeda M et al.
Lung Cancer. 2023 Mar;177:44-50.
PMID:36731290.

Abs of abs.
オシメルチニブは、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌の初回治療として確立されている。しかし2次治療以降ではT790M変異陽性に限定されているため、第1、2世代のEGFR-TKIによる前治療を受けた患者のうち、約半数にしか適応にならない。本試験は、日本における肺がん患者ネットワークの要請により開始された。今回は第1世代または第2世代のEGFR-TKIとプラチナベースの化学療法による治療後にT790M陰性で病勢進行したEGFR遺伝子変異陽性患者を対象に、オシメルチニブの有効性を評価する第2相試験を実施した。主要評価項目は奏効率(中央判定による)であった。2020年8月から2021年2月に、15施設から55人が登録され、奏効は16人(29.1%[17.6-42.9])であり、閾値奏効率を上回った。SDは16人(29.1%)、PDは18人(32.7%)であった。無増悪生存期間中央値は4.07ヶ月[2.10-4.30]、12ヶ月PFS率は17.3%であった。今回の結果からオシメルチニブは、T790M陰性の進行状態に対して緩やかな抗腫瘍効果があることが知られた。

感想
私はオシメルチニブがどのラインでも制限なく使えるようになることを願う一人です。G719などのマイナー変異において、おそらくアファチニブが一番良いであろうが、オシメルチニブもその次に良さそうです。再治療ではT790Mを証明しない限りオシメルチニブが使えないことから必然的に順番が決まってしまいます。またメジャー変異でも、縮小効果という点でアファチニブの方が切れがある感触を持っています。許されるならアファチニブで入りたいと思うこともありますが、T790Mが出るという保証はないのでオシメルチニブで入らざるを得ません。まったくエビデンスはありませんが、TKIしか使えない場合、オシメルチニブからアファチニブ、エルロチニブにスイッチすることも良く行われているようです。今回のWaterfallプロットでも縮小効果はある程度確認できます。PFSは4.07ヶ月と単に自然史を見ている可能性も否定できません。FLAURA試験でのPFSが18.9ヶ月、第1、2世代のPFSが12ヶ月として今回の4ヶ月を足しても少し足りませんが、T790Mが出るべき運命にあった人達の分のPFS、これがAURA3で10.1ヶ月あります。T790Mが半分としても12+(10+4)/2=19とちょうどFLAURAと一致します。あくまで数字の遊びですが、TKIは結局どのように使っても結果はあまり変わらないことの証明かもしれません。