TPS≧50%に対するペムブロリズマブの5年生存の条件とは

Five-year efficacy and safety of pembrolizumab as first-line treatment in patients with non-small cell lung cancer with PD-L1 tumor proportion score ≥50%: A multicenter observational study.

Tambo Y et al.
Lung Cancer. Epub 2025 Feb 4.
PMID:39952082.

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PD-L1が50%以上の非小細胞肺癌患者に対して、初回治療としてのペムブロリズマブが5年前から日本で承認されている。今回はこれについて長期的な有効性と安全性を実臨床で調査した。多施設観察研究として17年2月から2018年12月までの間に、組織学的にPD-L1 TPS≧50%と診断された進行または再発非小細胞肺癌でペムブロリズマブを投与された連続95例を登録した。データは電子カルテから収集し、TPSは22C3抗体を用いて評価した。追跡期間中央値は71.1ヵ月であった。無増悪生存期間中央値は6.9ヵ月[4.7-9.1]、2年、3年、5年PFS率はそれぞれ24.9%、19.3%、14.2%であった。全生存期間中央値は19.1ヵ月[13.3-24.9]であった。2年、3年、5年生存率はそれぞれ42.7%、33.9%、24.8%であった。多変量解析では、組織型(扁平上皮 vs 非扁平上皮;ハザード比2.23[1.40-3.89]、p=0.001)と転移部位の数(<3 vs ≧ 3;ハザード比4.65[2.51-8.62]、p<0.001)が有意に独立して長期生存に影響した。免疫関連有害事象は43例(45.3%;20例[21.0%]がグレード3以上)に見られた。
本研究からPD-L1≧50%に対する初回治療としてのペムブロリズマブの5年生存率は、臨床試験と同等であった。組織型と転移部位数は長期生存率と5年生存率に影響を与えていた。

感想
臨床試験の結果は現実世界での臨床現場で確認されなければ、本当の標準治療とならないと私は考えています。理想的には、自施設で確認するのが望ましいですが、それが難しい場合は、自分が診療している人種や場所にできるだけ近い地域での確認が重要です。今回のデータは、100例弱のTPS≧50%の初回ペムブロリズマブ単剤治療の患者を対象としており、この要件に近いことから貴重なデータと言えるでしょう。
KEYNOTE-042試験[Reck M JCO2021 PMID:33872070]の5年生存率は31.9%ですが、実臨床ではこの数値から割り引いて考える必要があります。今回のデータでは5年生存率が24.8%とされ、このカテゴリーでは通常、ドライバー変異がない場合は数%の5年生存率しか見られないことを考えると、明らかに予後を延長していると言えるでしょう。一方で、3/4の患者は5年以内の予後であり、5年生存を達成した患者にはどのような特徴があるのかを明らかにすることが重要です。
今回の分析では、非扁平上皮型と転移部位が3か所未満という点が、5年生存率に関連していることが示されました。術後再発が良い影響を及ぼすのかと思っていましたが、PFSとOSにも明らかな差は見られませんでした。年齢(70歳区切り)、性別もあまり関連性はなく、PSが良好なことがOSと関連していました。
注目すべきは、Fig.2で示されている5年生存を達成した患者の経過です。この図から、ペムブロリズマブ治療が2年よりもはるかに短期間でも5年生存を達成する症例が少なからず存在することがわかります。これらの症例の大部分は、irAE(免疫関連有害事象)による治療中止が原因でした。これは、臨床現場での実感とも一致しており、時に1、2回の投与で激しい有害事象とともに腫瘍が消失し、その後は経過観察のみという症例を経験します。Fig.2では、転移臓器はすべて2か所以下となっています。転移臓器の定義には、リンパ節、肝臓、脳、骨、肺、悪性胸水、悪性心嚢液、皮膚、髄膜転移となっていますが、リンパ節の扱い方がよくわかりません。Fig.2の説明にリンパ節は”distant”と記載されていることから、N2範囲まではリンパ節としてカウントされていないのかもしれません。いずれにしても、転移部位が少ない症例は、長期生存が期待できる可能性が高く、貴重な臨床情報と言えるでしょう。