再治療としてのアテゾリズマブ単剤の長期成績

Atezolizumab Versus Docetaxel in Pretreated Patients With NSCLC: Final Results From the Randomized Phase 2 POPLAR and Phase 3 OAK Clinical Trials

Mazieres J et al.
J Thorac Oncol. 2021 Jan;16(1):140-150.
PMID: 33166718

Abs of abs.
前治療歴のある進行非小細胞肺癌患者を対象としたアテゾリズマブの第Ⅱ相POPLAR試験および第Ⅲ相OAK試験では、ドセタキセルと比較して生存期間が有意に改善した(p=0.04、P=0.0003)。長期追跡により、さらにアテゾリズマブの有用性を評価できる。本研究では両試験の最終的な全生存期間と安全性について報告する。POPLARでは287例(アテゾリズマブ144例、ドセタキセル143例)、OAKでは1225例(アテゾリズマブ613例、ドセタキセル612例)がランダム化された。患者にはアテゾリズマブ(1200mg固定量)またはドセタキセル(75mg/m2)を3週間ごとに投与し有効性と安全性を評価した。POPLAR(生存期間中央値が12.6カ月対9.7カ月、ハザード比0.76[0.58-1.00])とOAK(生存期間中央値13.3カ月対9.8カ月、ハザード比0.78[0.68-0.89])の両方で、アテゾリズマブ群で生存期間の延長が認められた。4年生存率は、POPLARで14.8%[8.7~20.8]と8.1%[3.2~13.0]、OAKで15.5%[12.4~18.7]と8.7%[6.2~11.3]であった。アテゾリズマブは、PD-L1発現および組織型に関わらず、ドセタキセルと比較して生存期間が改善されていた。ドセタキセル群の4年生存の多くが後治療で免疫療法を受けていた(POPLAR50%;OAK65%)。4年生存者のうち、ほとんどがPS0、非扁平上皮癌で、約半数が治療奏効であった(POPLAR:アテゾリズマブ15例中7例、ドセタキセル4例中3例、OAK:アテゾリズマブ43例中24例、ドセタキセル26例中11例)。治療関連の有害事象は4年生存のPOPLAR群で27%、OAK群で16%のアテゾリズマブ投与に発生した。今回の長期追跡において、PD-L1発現、組織型、その後の免疫療法に関係なくドセタキセルに対するアテゾリズマブの生存期間の利益があることが示された。アテゾリズマブには安全性に対する懸念の追加はなく、前臨床試験と同様であった。

感想
症例数としてPOPLARは287例、OAKは1225例で、OAKの方を中心に見ていけばよいと思います。4年生存率はOAKのアテゾリズマブ群でPOPLAR試験16%でした。長期生存、今回は4年生存の人の詳細を見ています。45%が非奏効(SD/PD)であり、アテゾリズマブが効く方がよいですが、効かなくとも長期生存の可能性があることを示します。OAKにおけるアテゾリズマブ群でbeyond PD投与がなされたのは41%、またドセタキセル群で後治療に免疫チェックポイント阻害薬投与がなされたのはOAKで8%でした。従って(販売促進も兼ねてでしょうが)beyond PD投与が長期生存に寄与していると述べています。ランダム化試験ですから2次治療にドセタキセルを入れるより、アテゾリズマブをいれた方が長期生存に至る確率が高まるのは事実ですが、何もしなくとも4年生存する人もいるはずで、免疫療法により利益を受けられる因子はまだまだ研究されるべきでしょう。実地臨床での印象から、今回上げられたPS=0というのは重要な因子のような気がします。状態のいい人に関しては免疫療法をできるだけ早く入れるの勧められると思います。
昨年はコロナ禍で振り回された一年でした。特に首都圏ではまだまだ収束しそうになく厳しい状況です。2013年01月14日から始めた当ブログですが、いつの間にか8年が経過しようとしています。個人の備忘録として使っていますのでアクセス数は数えていませんでしたが、今確認したところ旧ブログは59万あまり、新ブログは36万あまりのPVをいただいています。プロフィールにいわゆるケモ屋と書いていますが、最近はCOVID-19関連や、誤嚥性肺炎も多く診療するようになっており、そろそろ看板の架け替えを考えねばならぬ時期に来ております。そんな状況ではありますが、今年も細々とがん治療の勉強を続けていきたいと思っています。