オシメルチニブ+化学療法の中枢神経系への効果

CNS Efficacy of Osimertinib With or Without Chemotherapy in Epidermal Growth Factor Receptor-Mutated Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer.

Jänne PA et al.
J Clin Oncol. 2023 Dec2. Epub ahead of print.
PMID:38042525.

Abs of abs.
今回は第Ⅲ相FLAURA2試験におけるベースラインでの中枢神経系(CNS)転移別について報告する。この試験は無作為にオシメルチニブ+プラチナ-ペメトレキセド(併用療法)、またはオシメルチニブ単剤療法に病勢進行、中止まで割り付けられた試験である。ベースライン時にCNS転移を有する患者については、病勢進行時および病勢進行まで定期検査として、全患者で脳画像検査が施行された。神経放射線科医が画像を独立判定した。ベースラインでCNS評価を独立して行い、279例中118例(併用療法)および278例中104例(単剤療法)においてCNS病変を1つ以上有していると判定され、これをCNS解析集団(cFAS)とした;118例中40例および104例中38例に測定可能CNS病変を1つ以上有していたため、これを事後のCNS効果判定集団(cEFR)に入れた。cFASにおいて、CNSの進行または死亡のハザード比は0.58[0.33-1.01]であった。ベースラインCNS転移のない患者では、CNS進行または死亡のハザード比は0.67[0.43~1.04]であった。cFASにおいて、CNS奏効率は73%(併用療法;64-81%)対69%(単剤療法;59-78%)であり、CNSの完全奏効(CR)率は59%対43%であった。cEFRでは、CNS奏効率は88%[73-96]対87%[72-96]であり、CR率は48%対16%であった。オシメルチニブ単剤と比較しプラチナ-ペメトレキセドとの併用療法は、ベースラインでの転移の有無と関係なくCNSへの有効性が改善された。このデータから、CNS転移がある症例を含めたEGFR変異陽性進行非小細胞肺癌に対する新たな初回治療としての本併用療法が支持される。

感想
先日ご紹介したFLAURA2のサブ解析が早くも論文化されています。CNS転移がある方がハザードが低い、つまり併用療法の効果が高かったというのが主題です。CNS転移があったのは両群100例程度でそれなりに症例数もあります。NEJMではCNS転移ありのPFSハザード比0.47[0.33-0.66]で、CNS転移なしがハザード比0.75でした。CNS転移は本来強い治療の効果が落ちますので、中枢神経に対するなんらかの相乗効果があったと見ることができます。事実としてこう見えていても、薬物動態的な根拠はほとんどありません。ペメトレキセドが脳内移行性がよいというデータもなければ、化学療法併用でTKIのBBB通過が高まるというデータもありません。ディスカッションでは”It is possible that the presence of CNS metastases might facilitate brain penetration of chemotherapy owing to disruption of the blood-brain barrier”と非常に控えめな書き方がされています。つまり理屈は何もわからないということでしょう。一番良いのはオシメルチニブ単剤で治療していて脳転移が悪化した患者に、抗がん剤を上乗せして効果が出るかどうかです。それが続くようなら併用効果は信じるに値すると思います。
NEJMのFig2を見ると全部で17個のサブ解析が示されていますが、計算上20個に一つは偶然有意差が出るとして、ちょうどそうなっているようにも見えます。