免疫複合療法後の化学療法

Second-line treatment outcomes after progression from first-line chemotherapy plus immunotherapy in patients with advanced non-small cell lung cancer.

Auclin E et al.
Lung Cancer. 2023 Apr;178:116-122.
PMID:36812760.

Abs of abs.
化学療法+免疫療法は、進行非小細胞肺癌に対する標準治療である。この治療の進行後の二次化学療法を評価した研究はあまりない。この多施設共同後ろ向き研究は、初回化学免疫療法で進行した後の2次化学療法(2L)の有効性を、全生存期間(2L-OS)と無増悪生存期間(2L-PFS)で評価した。計124名を調査し、平均年齢は63.1歳、30.6%が女性、72.6%が腺癌、43.5%が2L開始前のPSが不良であった。64名(52.0 %)の患者は、初回化学免疫療法に抵抗性と考えられた(1L-PFS<6ヶ月)。2L治療では、57人(46.0%)がタキサン系単剤、25人(20.1%)がタキサン+血管新生阻害剤、12人(9.7%)がプラチナベース化学療法、30人(24.2%)がその他の化学療法を受けた。2L治療開始後の追跡調査期間中央値8.3ヶ月[7.2-10.2]での、2L-OS中央値は8.1ヶ月[6.4-12.7]、2L-PFS中央値は 2.9ヶ月(95 %CI: 2.4-3.3)であった。全体として、2L-奏効率は16.0%、2L-病勢制御率は42.5%であった。タキサン+血管新生阻害剤あるいはプラチナ製剤の再治療により、2L-OS中央値はそれぞれ未到達[5.8-NR]、17.6ヶ月[11.6-NR]となり最も長かった(p=0.05) 。1L治療抵抗性患者は、1L治療奏効患者(2L-OS 12.7ヶ月、2L-PFS 3.2ヶ月)に比べ、生存アウトカムが悪かった(2L-OS 5.1ヶ月、2L-PFS 2.3ヶ月)。今回のコホートでは、化学免疫療法で進行した後の2L化学療法がわずかの効果を示した。1L治療抵抗性では依然として難治であり、新しい2L戦略の必要性が高まっている。

感想
2次治療でのエビデンスは実はあまり多くありません。有名な所ではドセタキセル対ペメトレキセドでPFS2.9ヶ月、OSはドセタキセル7.9ヶ月、ペメトレキセド8.2ヶ月[Hanna N JCO2004 PMID:15117980]であった試験。ドセタキセル+ラムシルマブ対ドセタキセルのREVEL試験で、PFS4.5ヶ月対3ヶ月、OS10.5ヶ月対9.1ヶ月でした。安易な横比べはできませんが、今回は全体でのPFSが2.9ヶ月で免疫療法のない頃の2次治療のデータとよく似ています。免疫療法後は奏効率が上がるがあまり予後延長につながらないことはすでに日本からも報告されており[Kato R J ImmunotherCancer2020 PMID:32066647]、それが免疫複合療法になってもあまり変わらないのかもしれません。今回のサブ解析では、血管新生阻害薬追加が少し良かったとのことですが、そもそも背景が違うので何とも言えません。すでに免疫複合療法後のドセタキセル+ラムシルマブは多数報告されており、例えば77人を集めた研究[Brueckl WM Transl Lung Cancer Res2020 PMID:34430350]では、PFS3.9ヶ月、OS7.5ヶ月とされておりあまり伸びた印象はありません。今も昔もドライバー変異に対する治療と免疫複合療法を使った後はあまり工夫の余地がありません。