再発小細胞肺癌に対する抗体薬物複合体治療

Tambotatug Pelitecan in Small-Cell Lung Cancer after Platinum-Based Therapy.

Zhao Y et al.
N Engl J Med. 2026 Sep 12. Epub ahead of print.
PMID:42734213.

Abs of abs,
タンボタツグ・ペリテカン(Tam-Peli、免疫チェックポイント分子B7-H3を標的とする新規抗体薬物複合体)は、初期段階の臨床試験において、再発進展型小細胞肺癌に対して有望な臨床効果を示した。第3相、多施設共同、非盲検、無作為化試験において、初回治療としてのプラチナ製剤ベースの化学療法後に進行した小細胞肺癌患者を、タンボタツグ・ペリテカン群とトポテカン群に1:1で割り付けた。主要評価項目は全生存期間であった。主要な副次評価項目は、無増悪生存期間および主治医評価による奏効であった。今回は事前に規定された中間解析の結果を報告する。計451名の患者が無作為化され、225名がタンボタトツグ・ペリテカン群、226名がトポテカン群に割り付けられた。全生存期間は、タンボタツグ・ペリテカン群の方がトポテカン群よりも有意に長く、中央値は13.3ヶ月[12.1-NE]であったのに対し、トポテカン群は9.4ヶ月[7.7-10.5]であった; 死亡に対するハザード比は0.46([0.35-0.62];p<0.001)であった。タンボタツグ・ペリテカンによる治療は、トポテカンによる治療と比較して、無増悪生存期間も有意に長かった(7.4ヶ月[6.1-7.6]対2.8ヶ月[1.8-3.0]; ハザード比0.29[0.23-0.37];p<0.001)。タンボタツグ・ペリテカン群で奏効率59.1%、トポテカン群では9.7%であった(p<0.001)。グレード3以上の有害事象は、タンボタツグ・ペリテカン群の方がトポテカン群よりも低かった(55.4%対77.9%)。プラチナ製剤ベースの治療後に再発した小細胞肺癌において、タンボタツグ・ペリテカンによる治療は、トポテカンによる治療と比較して、全生存期間および無増悪生存期間が延長し、奏効率が高く、グレード3以上の有害事象の発生率は低かった。

感想
近年目覚ましい抗体薬物複合体による治療です。ターゲットはB7-H3で、これはT細胞の増殖活性化を抑制することが主な役割のようです。正常細胞にほとんど発現せず、逆に腫瘍細胞、腫瘍関連血管に非常に多く発現しているため標的に適しているとされます[Kontos F ClinCanRes2021 PMID:33051306]。一方タンボタツグ・ペリテカンは、ペイロードとして名前で分かるようにトポイソメラーゼⅠ阻害薬を結合させています。これは細胞内だけでなく、腫瘍微小環境では細胞外でもペイロード放出があるようです。性能の悪いリンカーとどう違うのか分かりませんが、この二重ペイロード放出も売りの一つとしています。昨年多様な癌種に対して第Ⅰ相が報告され[Ma Y NatMed2025 PMID:40082695]、なかでも小細胞肺癌での効果が高かったため今回のP3試験に発展しました。結果は要約にある通りで、サブグループ解析でも特に偏りなく効果があるようです。有害事象は血液毒性が多く、間質性肺炎は11例(4.9%)(G1/2:9例、G3:2例)に見られました。今後タルラタマブとの使い分けと、タルラタマブが一次治療に上がった場合の位置づけが問題になります。再治療例でDeLLphi-304試験におけるタルラタマブの全生存期間は13.6ヵ月、今回の試験群は13.3ヵ月で遜色なく、毒性プロファイルが違うことから、新たな治療選択肢できることは嬉しいことです。初回治療という観点では現在タンボタツグ・ペリテカンとPD-1阻害剤の併用を評価する第3相試験が進行中とのことです。