Pembrolizumab as First-Line Palliative Therapy in PD-L1 Overexpressing (≥50%) NSCLC: Real-world Results with Special Focus on PS ≥ 2, Brain Metastases,and Steroids.
Frost N et al.
Clin Lung Cancer. 2021 Sep;22(5):411-422.
PMID:33648877.
Abs of abs.
ペムブロリズマブは、PD-L1高発現(50%以上)の非小細胞肺癌において、非常に有効な標準治療である。しかし、日常臨床では、臨床試験による明確な証拠がないまま治療されている患者がかなりの割合を占めている。2017年1月1日から12月31日までに、ドイツのがんセンター6施設で、一次治療としてペムブロリズマブを投与された連続患者を対象に、後ろ向き研究を実施した。今回の目的は特にPSの低下、脳転移、ステロイド使用患者の有効性と転帰について公表された臨床試験を検証することとした。計153名の患者を対象とした(年齢中央値69歳、男性58%、腺癌69%)。PS≧2、脳転移、ステロイドの使用率は、それぞれ24.8%、20.9%、24.2%であった。奏効率、無増悪生存期間、全生存期間中央値は、全患者で48.5%、8.2ヵ月、22.0ヵ月、KEYNOTE024試験の組み入れ基準を満たした患者では52.4%、8.8ヵ月、29.2ヵ月でした。合併症などによるPS≧2、先行して放射線治療を必要とした症候性脳転移、ベースラインでのステロイド使用患者では、生存期間が有意に短縮した。一方、腫瘍関連のPS≧2または無症候性脳転移では、持続的な奏効が得られていた。グレード3/4および5の免疫関連有害事象は、13.7%および2.0%に認められた。ぺムブロリズマブ投与による実臨床と臨床試験での有効性はよく合致している。ペムブロリズマブは、無症候性の脳転移をうまく抑制し、がんによるPS低下を改善する可能性がある。しかし合併症などによるPS≧2、症候性脳転移、またはベースラインのステロイド使用などフレイルな集団では利益が見られなかった。
感想
シンプルでわかりやすい結果です。TPS高発現に関して腫瘍関連のPS低下は、投与による利益があり得るが、そうでなければ利益は少ない。症候性脳転移に関しては利益が少ない。またさんざん言われてきたように10㎎以上のステロイド投与下でも利益が少なくなります。従来のデータは2次治療以降も含めたデータですが、今回は初回、TPS高発現であっても同様の傾向が確かめられたことに意義があると思います。高齢、PS不良で通常の抗がん剤が難しいケースでも高TPSであった場合、ついペムブロリズマブ単剤投与を考えてしまいがちです。今回の研究から考えると、そのような場合、PS低下が脳転移以外のがん関連のためと言えるならば、投与の余地があるかもしれません。