抗がん剤+免疫療法+放射線同時併用:KEYNOTE-799

Pembrolizumab Plus Concurrent Chemoradiation Therapy in Patients With Unresectable, Locally Advanced, Stage III Non-Small Cell Lung Cancer: The Phase 2 KEYNOTE-799 Nonrandomized Trial.

Jabbour SK et al.
JAMA Oncol. 2021 Jun 4. Epub ahead of print.
PMID:34086039.

Abs of abs.
Ⅲ期非小細胞肺癌におけるペムブロリズマブとcCRTの効果と安全性を評価する目的で、第2相、非無作為化、2コホート、オープンラベルのKEYNOTE-799試験を行った。2018年11月5日から2020年7月31日の間に、10カ国52施設から患者が登録された。2020年10月28日時点で、フォローアップ中央値(範囲)は、コホートAで18.5(13.6-23.8)カ月、コホートBで13.7(2.9-23.5)カ月であった。 301名がスクリーニングされ、前治療歴がなく、切除不能かつ病理学的/放射線学的に確認されたⅢABC期の非小細胞肺癌で、測定可能な病変を有する患者216名が適格とされ登録された。コホートA(扁平上皮癌/非扁平上皮癌)の患者は、カルボプラチン(AUC6)、パクリタキセル(200mg/m2)、ペムブロリズマブ(200mg)を1サイクル(3週間)投与した後、カルボプラチン(AUC2)、パクリタキセル(45mg/m2)を毎週計6回投与し、ペムブロリズマブも3週毎に2サイクル投与し、標準的な胸部放射線治療上乗せした。コホートB(非扁平上皮癌)の患者は、シスプラチン(75mg/m2)、ペメトレキセド(500mg/m2)、ペムブロリズマブ(200mg)を3週間ごとに3サイクル投与し、2サイクル目と3サイクル目に胸部放射線治療を行った。その後14サイクルのペムブロリズマブが追加投与された。主要評価項目は,独立判定による奏効率と,グレード3-5の肺臓炎の発生率であった。コホートAでは112名の患者が治療を受け(男性76人[67.9%]、年齢中央値[範囲]66.0[46-90]歳、PD-L1=1%以上の患者66人[58.9%])、コホートBでは102人の患者が治療を受けた(男性62人[60.8%]、64.0[35-81]歳、PD-L1=1%以上の患者40人[39.2%])。奏効率は,A群で70.5%[61.2%-78.8%],B群で70.6%[60.7%-79.2%]であった.奏効期間中央値には達しなかったが,それぞれ79.7%と75.6%が12カ月以上の奏効期間を示していた.グレード3以上の肺臓炎は、コホートAでは112人中9人(8.0%)、コホートBでは102人中7人(6.9%)に発生した。グレード3-5の治療関連有害事象は、それぞれ112人中72人(64.3%)、102人中51人(50.0%)に発生した。今回の第2相非ランダム化2コホート試験の結果から、前治療歴のない局所進行Ⅲ期非小細胞肺癌患者において、ペムブロリズマブとcCRTの併用による治療効果は有望であり、毒性も管理可能であることが示唆される。

感想
2本の第Ⅱ相試験を同時に行ったような試験です。Ⅲ期非小細胞肺癌についてはcCRT→デュルバルマブ1年が標準となっています。本試験の比較対象として、起点も対象も違い適切かどうかはわかりませんが、PACIFIC試験[Antonia SJ NEJM2017 PMID: 28885881]での12ヶ月PFS率が55.9%であることからすれば、12ヶ月PFSは67.1%と71.6%で、少なくとも同等以上の効果がありそうです。アブストラクト中にはPFSを記載せずに12ヶ月奏効期間が79.7%と75.6%との混乱を招くことが書かれています。私の理解では奏効期間は効果が出始めてから腫瘍増大/死亡までの期間ですので、ミスリードを招くと思います。さてグレード3以上の肺臓炎が7-8%に見られ、これが許容できないと考えるのも自然です。プロトコールを見るとグレード3以上の肺臓炎が10%未満であればpositiveと解釈すると書かれていました。
PACIFIC試験でもグレード3以上の肺臓炎は4.4%に出ており、現時点である程度は許容できるものと思います。今回はコホートAの4人、コホートBの1人の患者が肺臓炎死亡しており、これをどう減らしていくかが課題と思います。結局はこれらも最終的なOSがどうなのか、完治したと思われる割合がどれくらいなのかによって評価すべきでしょう。