肺癌検診での良性結節、鑑別は難しい

Surgical Resection of Benign Nodules in Lung Cancer Screening: Incidence and Features.

Archer JM et al.
JTO Clin Res Rep. 2023 Nov 20;4(12)
PMID:38124789

Abs of abs.
肺癌検診で発見された非悪性肺病変に対する介入や外科的処置は日常的に行われている。良性結節の不適切な切除は起こりうるし、処置には合併症を伴う可能性があり、さらに検診費用を増大させる。本研究は、検診CTで肺癌を疑い外科的に切除された良性結節の特徴を評価することである。後ろ向き研究として2014年6月から2021年1月の間に検診を受けた4798人の患者を対象とした。肺癌を疑い外科切除された良性肺結節を同定し、背景、画像、病理診断を解析した。検診を受けた4798人のうち、148人(3.1%)が肺結節の外科切除を受け、切除を受けた患者のうち、148人中19人(12.8%)が良性であった(年齢中央値64歳[56-77];19人中12人が女性)。結節サイズ中央値は10mm(6-31mm)であった。ほとんどの結節は固形で(19例中15例、78.9%)、上葉に位置し(19例中11例、57.9%)、末梢性優位であった(19例中17例、89.5%)。ほとんどの結節(17人中13人;76.5%)が時間経過で増大し、17人中4人(23.5%)はFDGの取り込みが増加していた。19人の患者のうち、17人(89.5%)が肺葉未満の切除術(16人が楔状切除術、1人が区域切除術)を受けたが、中枢性結節2人(10.5%)は肺葉切除術を受けた。病理結果は、線維化または瘢痕(n=8)、壊死性肉芽腫性炎症(n=3)、その他の非特異的炎症(n=3)、良性腫瘍(n=3)、反応性リンパ過形成(n=1)器質化肺炎(n=1)であった。悪性と推定されるような良性結節を切除することはあまりないが、良性と悪性結節の画像的特徴が重複していることから、避けられない面もある。悪性結節とよく似た良性病変に関する知識は、不必要な手術を減らすのに役立つであろう。

感想
肺癌を見ている以上永遠に解決しない問題です。結節を多く見ていると、時に非常に判断が難しいケースに遭遇します。画像上の特徴を丹念に拾っていくと「良性の可能性も十分ある」と確信することもありますが、時に裏切られることもあります。こんなものが肺癌と驚くようなことも稀ならずあります。であるからこそ違うと思ってもとりあえずフォローとなり、結果外来が溢れかえる原因になります。今回は参考例として2例あげられていますが、どちらも画像では難しいので本文を是非見てください。