術前ペムブロリズマブ+化学療法+維持療法で生存期間延長を証明、サブグループに注目

KEYNOTE-671 Investigators. Neoadjuvant pembrolizumab plus chemotherapy followed by adjuvant pembrolizumab compared with neoadjuvant chemotherapy alone in patients with early-stage non-small-cell lung cancer (KEYNOTE-671): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial.

Spicer JD et al.
Lancet. 2024 Sep12: Epub ahead of print.
PMID:39288781.

Abs of abs.
KEYNOTE-671試験の第1回中間解析では、術前化学療法にペムブロリズマブを周術期に追加することで、早期非小細胞肺癌の無再発生存期間を有意に延長した。 今回の2回目の中間解析では全生存期間と健康関連QOLを報告する。KEYNOTE-671は189の医療施設で実施された国際共同第3相試験である。 切除可能なⅡ期、ⅢA期、またはⅢB期(N2)の非小細胞肺癌をを無作為に割り付けた(1:術前治療のペムブロリズマブ(200mgを3週間毎)+シスプラチンベースの化学療法を4サイクル行い、その後手術を行い、術後補助のペムブロリズマブ(200mgを3週間毎)を13サイクル行う群と、術前プラセボ(3週間毎)+シスプラチンベースの化学療法を4サイクル行い、その後手術を行い、術後補助のプラセボ(3週間毎)を13サイクル行う群に無作為に割り付けられた(1:1)。無作為化は病期、PD-L1発現、組織型、地域により4ブロックに層別化された。主要評価項目はITT集団における全生存期間と無再発生存期間であった。2018年5月11日から2021年12月15日の間に、797人の参加者がペムブロリズマブ群(n=397)とプラセボ群(n=400)に無作為に割り付けられた。 2回目の中間解析における試験追跡期間中央値は36-6カ月(IQR 27.6-47.8)であった。 36ヵ月全生存期間の推定値は、ペムブロリズマブ群で71%[66-76]、プラセボ群で64%[58-69]であった:ハザード比0.72[0.56-0.93];片側p=0.0052;閾値、片側p=0.0054)。 無再発生存期間中央値はペムブロリズマブ群で47.2カ月[32.9~未達]、プラセボ群で18.3カ月[14-8-22.1]であった(ハザード比0.59[0.48-0.72])。 治療集団において、グレード3~5の治療関連有害事象は、ペムブロリズマブ群396人中179人(45%)、プラセボ群399人中151人(38%)に発現した。 ペムブロリズマブ群では4人(1%)、プラセボ群では3人(1%)で致死的な治療関連有害事象が認められた。 術前化学療法単独と比較した術前ペムブロリズマブ+化学療法+術後補助ペムブロリズマブの有意な全生存期間の延長が見られた。管理可能な安全性プロファイルであり、切除可能な早期非小細胞肺癌に対する周術期ペムブロリズマブの使用を支持する。

感想
以前に取り上げた試験の追加解析で、前回は無再発生存期間の延長だけでしたが、生存期間も有意になりましたという報告です。術前に免疫複合療法、術後に免疫療法1年間と現在ではこれ以上にないという濃厚治療を施しています。検出力90%、生存ハザード比0.7、片側P=0.0148で見に行っているので、約800人の登録をしており結果が出なければ、このような治療が全否定されかねないところでした。結果はpositiveですが、どのような人にすべきかは今後議論されそうです。
サブグループ解析を見ます。ハザード比で見たペムブロリズマブの上乗せ効果が弱い集団は、65歳以上0.96、東アジア人1.05、非喫煙者1.00、PD-L1<1% 0.91です。これらのグループは既存データでも免疫チェックポイント阻害薬の効果が危ぶまれており、断定は禁物ですが今後の検討を待ちたいと思います。逆に65歳未満0.57、現喫煙者0.59、PD-L1≧50% 0.55でありこれらの要素があれば積極的に導入したいところです。結局免疫療法の利益を受けそうな因子の傾向はこれまで通りで、割とはっきりと見られたというところです。ちなみに今回はわずかですがEGFR/ALK陽性が含まれています。しかしサブグループ解析でも症例数が非常に少なく確定的なことは言えません。ですがご存知の通り、これまでのデータから考えれば積極的な対象とは言えないと思います。