超低用量ニボルマブでも生存利益があるのか?

Efficacy and Safety of Ultra-Low-Dose Immunotherapy in Relapsed Refractory Solid Tumors: Phase III Superiority Randomized Trial(DELII).

Noronha V et al.
J Clin Oncol. 2026 Apr 20;44(12):1083-1097.
PMID:41604598.

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免疫チェックポイント阻害薬は、承認された標準用量よりもはるかに低い用量で十分な受容体占有を達成する。今回は超低用量のニボルマブでも臨床的有効性が維持されるという仮説を立てた。本第Ⅲ相無作為化優越性試験では、進行性固形癌でかつ1回以上の化学療法を受け病勢進行が認められた患者を対象に、超低用量ニボルマブ(20 mg、2週間ごとに1回静注)群と標準化学療法(腫瘍の種類に応じてドセタキセルまたはパクリタキセル)群に1:1の割合で無作為に割り付けた。治療は病勢進行または毒性中止まで継続した。主要評価項目は全生存期間であった。2020年6月から2024年2月までに、500名の患者を登録した(各群250名)。頭頸部癌が52%、肺癌が36%を占めた。既往治療ライン数の中央値は1(1-8)であり、29%が2ライン以上の既往治療を受けていた。超低用量ニボルマブ群では、全生存期間中央値が有意に長かった:5.88ヶ月[4.99-7.13]対 4.70ヶ月[3.91-5.65];ハザード比0.80 [0.66-0.97]; P=0.022)。1年OS率は27.3%対16.9%であった。無増悪生存期間の中央値は類似していた:超低用量ニボルマブ群で2.04ヶ月[2.00-2.10]、化学療法群で2.09ヶ月[2.04-2.17[(ハザード比1.03 [0.86-1.23]; P=0.77)。グレード3以上の治療関連有害事象は、超低用量ニボルマブ群でより低頻度であった(42.5% 対 60.8%; P<0.001)。QoLは、超低用量ニボルマブ群で有意に良好であった。既治療の固形癌において、超低用量ニボルマブは化学療法と比較して全生存期間を有意に改善し、重篤な毒性が少なく、QoLも良好であった。これらの知見は、ICIの投与戦略の再評価を支持するものであり、治療アクセス向上になるかもしれない。

感想
標準量の1/12(20mg)でも臨床的有効性が保たれる」という仮説のもと実施された試験です。ICIの投与量は従来の化学療法に基づいた側面と、奏効面から選ばれた経緯があります。また癌種の違いはあまり意識されず、さらに3mg/kg→240mg固定量へ変更され、2倍間隔2倍量が承認された経過があります。効く人は低用量低頻度でも十分かもしれないというのは感覚的にもわかるところです。一方経済的な問題により承認用量が投与できない国もあります。今回はインドで行われた試験で、必ずしも日本には必要ないデータですが、いろいろ考えさせられる報告です。癌種もさまざまであり一概には言えませんが、経済状態が悪い、セカンドライン以降の治療ということで、おそらく通常の化学療法による延命効果はほとんどない集団と考えられます。OSのサブグループ解析をみると、ある程度Nがある中では60歳以上、喫煙者でICIの延命効果が顕著です。しかし全体としてRR、PFSに差が見られないことから、抗がん剤のマイナスがなかっただけの可能性もありそうです。入院を要する毒性が化学療法群で21.1%に生じていました。本試験で低用量ICIでも恩恵が受けられると判断するのはまだ早く、次に示すべきは低用量ICIがプラセボにOSで勝っていることではないかと思います。