Clinical impact of pembrolizumab combined with chemotherapy in elderly patients with advanced non-small-cell lung cancer.
Morimoto K, et al.
Lung Cancer. 2021 Aug 31;161:26-33.
PMID:34500218
Abs of abs.
免疫チェックポイント阻害剤と化学療法の併用療法は、進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者の標準治療の一つである。しかし、高齢のNSCLC患者における免疫チェックポイント阻害剤と化学療法の併用の臨床的意義については、まだよくわかっていない。そこで本研究では、高齢患者において、この治療効果を検討した。12施設で2019年1月から2019年12月の間にペムブロリズマブと化学療法の併用療法を受けた進行NSCLC患者203名を後ろ向き解析した。ペムブロリズマブにプラチナ製剤とペメトレキセドを併用した群(ペメトレキセドレジメン)と、ペムブロリズマブにカルボプラチンとnab-パクリタキセル/パクリタキセルを併用した群(パクリタキセルレジメン)の2つの群について、年齢の影響を分析した。多変量解析の結果、高齢者(75歳以上)のNSCLC患者では、非高齢者(75歳未満)のNSCLC患者に比べて、ペメトレキセドレジメン群で無増悪生存期間と全生存期間が有意に短いことが示された。一方、パクリタキセル療法群では、高齢者と非高齢者のNSCLC患者の間で、無増悪生存期間と全生存期間に有意差はなかった。高齢者では、TPS50%以上であることが無増悪生存期間と有意に関連し、PS2以上であることが全生存期間と有意に関連した。低アルブミン(3.5g/dL未満)は、無増悪生存と全生存の両方に有意に関連していた。本研究から、パクリタキセルレジメンではなく、ペメトレキセドレジメンが、高齢者NSCLCの臨床転帰の悪さに関連していることを示している。
感想
ICI+chemoを行った場合、当然高齢者の方が全体として悪いが、足を引っ張っているのは主にペメトレキセド含有レジメンで、タキサンレジメンではそうなっていない、という結果です。ペメトレキセドの方が骨髄抑制も少なく「体に優しい」レジメンのように思われますが、意外な結果で少し気にしておく必要があるかもしれません。この原因として肺臓炎の発生頻度の差を挙げています。治療中止理由としての肺臓炎が高齢者28.0% 対 非高齢者12.4%とダブルスコアであり、結局このために治療が十分入らないことが一因と考察しています。高齢者といってもサンプルサイズが非常に小さい25人 (全体の17.6%)での比較なので注意が必要です。70歳代後半でも免疫複合療法をやるだけなら可能でしょうし、ある程度耐えることもできますが、肝心の目的が達成されているのかは今後も確認されていくべきでしょう。過去を振り返ると、KN189のOSサブセット(65歳未満、65歳以上)で見た場合それぞれハザード比が0.43、0.64で少し高齢者で落ちています。一方KN407でのそれは0.52、0.74で似たような結果になっています。高齢者の定義の違いもありますが、少なくとも既報の臨床試験の結果からはなかなか伺い知れません。ペムブロリズマブをアテゾリズマブに変えたIMpower132[Nishio M JTO2021 PMID:33333328]では、全体的に有意ではない中ではありますが、OSサブセット(65歳未満、65歳以上)でハザード比が0.88、0.84とほとんど変わりません。ひょっとすると高齢者にペムブロリズマブ+ペメトレキセドの組み合わせが強すぎるということなのかもしれません。