MET Exon14に患者背景に特徴はあるか

MET Exon 14 Skipping in NSCLC: A Systematic Literature Review of Epidemiology, Clinical Characteristics, and Outcomes.

Mazieres J et al.
Clin Lung Cancer. 2023 Sep;24(6):483-497.
PMID:37451931.

Abs of abs.
MET-TKIによる治療が最近承認されたMETエクソン14(METex14)スキッピング陽性非小細胞肺癌は稀である。METex14スキッピング非小細胞肺癌の公表データは不均一であり、今回システマティックレビューを行い頻度、患者背景や転帰を評価した。2022年6月13日の時点でのMETex14スキッピングの頻度、患者背景、転帰を報告した論文および学会抄録のレビューを行った。頻度・患者背景を報告した139の研究(350997例)、および臨床転帰を報告した39の研究(3989例)を対象とした。METex14スキップの頻度は、非小細胞肺癌全体において2.0%であり、地域差はほとんどなかった。腺癌または非扁平上皮癌群で2.4%、肉腫で12.0%、扁平上皮癌で1.3%であった。METex14スキッピングは、高齢者、腺癌の組織型が多かった。初回治療における奏効率は、分子標的治療(MET-TKI)で50.7%~68.8%、免疫療法で33.3%、化学療法で23.1%か~27.0%であった。METex14スキッピングは一定の特徴を示す可能性もあるが、どのような患者群も除外することはできない。したがって、MET阻害薬の候補を同定するためには、すべての患者を検査することが重要である。化学療法や免疫療法レジメンとの直接比較はないが、MET-TKIはより高い有効性を示すように見受けられる。

感想
遺伝子パネル検査の普及が目覚ましい現在においても、特定のドライバー変異に対応する臨床的特徴を把握しておくことは重要です。今でこそ50歳台女性、非喫煙者、Ⅳ期であれば何としてもドライバー変異を見つけに行こうとしますが、それはEGFR遺伝子変異の特徴が頭に入っているからです。初期のEGFR遺伝子変異すら分からなかった時から、ゲフィチニブの奏効因子として女性、腺癌、非喫煙者という特徴が知られており今でも診療の大きな助けになっています。METex14は2%程度という報告が多いです。実感としてもALKより少し少ないが、たまには出るといった印象です。今回の研究で覚えておきたい点は、人種、地域差がなさそう、性別、喫煙状況による差もあまりない、肉腫に多いかもしれない、遠隔転移は多そうといった点です。今のところ少数例の経験ですが、喫煙ありなし、高齢者に関わらず思わぬところから出るという印象です。