EGFR-TKI後の免疫複合療法

Combination atezolizumab,bevacizumab, pemetrexed and carboplatin for metastatic EGFR mutated NSCLC after TKI failure.

Lam TC et al.
Lung Cancer. 2021 Sep;159:18-26. doi:
PMID:34303276.

Abs of abs.
TKIに対する獲得耐性は、EGFR遺伝子変異陽性肺癌の治療において重要な課題である。最近の臨床試験IMPower150では、VEGF阻害薬、免疫チェックポイント阻害薬とプラチナベースの化学療法との併用療法が、ドライバー変異陽性の肺癌に有効であることが示唆された。今回の試験では、EGFR遺伝子変異陽性コホートにおいて、レジメン変更を行い有効性を検証した。1種類以上のEGFR-TKIで進行したEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌を対象に、オープンラベル、単アーム、第Ⅱ相試験として行った。T790M変異例は、オシメルチニブでの画像上進行が見られることを条件とした。患者は、アテゾリズマブ(1200mg)+ベバシズマブ(7.5mg/kg)、ペメトレキセド(500mg/m2)+カルボプラチン(AUC 5)の併用療法を3週間に1回投与され進行が見られるまで継続された。40名の患者が登録され、年齢中央値は62歳(45-76)であった。半分以上(23/40、57.5%)がオシメルチニブ投与下での進行例であった。PD-L1発現は52.5%で1%未満であった。観察期間中央値は17.8カ月で奏効率は62.5%、PFS中央値は9.4カ月[7.6-12.1]、一年生存率は72.5%[0.56-0.83]であった。グレード3以上の有害事象は37.5%(15/40例)に見られた。irAEは32.5%(13/40例)に見られた。QOL指標は、治療期間中に有意な変化は見られなかった。試験終了後にEGFR-TKIを含むレジメンでのリチャレンジ例において、PFS5.8カ月[3.9-10.0]であった。本試験からアテゾリズマブ+ベバシズマブ+ペメトレキセド+カルボプラチン併用療法は、TKI終了後に期待できる結果を達成した。この結果は、IMPower150のタキサンレジメンと同等であり、毒性プロファイルの改善が見られた。

感想
IMpower150における一つの注目点はEGFR/ALK遺伝子変異陽性例に対してもアテゾリズマブとベバシズマブの上乗せ効果が認められたという点でした。IMpower150での4剤併用のPFSが9.7ヶ月、一年生存率は図から見て75%程度なので、今回ほぼ同等の結果が得られています。厳密には比較試験ではないので良いとも悪いとも言えませんが、意地悪な見方をすれば本来タキサン→ペメトレキセドでは若干の上乗せがあっても良いかと思います。ただIMpower150レジメンが今一つ普及しないのはパクリタキセルによる末梢神経障害、脱毛によるものであり、代替レジメンとしては十分な結果と言えます。日本で結果待ちのWJOG11218L8(進行非扁平上皮非小細胞肺癌に対するカルボプラチン+ペメトレキセド+アテゾリズマブ療法とカルボプラチン+ペメトレキセド+アテゾリズマブ+ベバシズマブ療法の多施設共同オープンラベル無作為化第Ⅲ相比較試験)にはTKI後のEGFR遺伝子変異陽性も適格とされているので、ベバシズマブとアテゾリズマブ両方がいるのかの疑問にも答えてくれると期待しています。