Exon21変異はGGOが多い

Computed tomography characteristics of lung adenocarcinomas with epidermal growth factor receptor mutation: A propensity score matching study.

Suh YJ et al.
Lung Cancer. 2018 Sep;123:52-59.
PMID: 30089595

Abs of abs.
大規模アジアコホートにおいて、外科切除された肺腺癌でのCTにおける画像的特徴とEGFR遺伝子変異との関係を調査した。対象は864人で(EGFR変異陽性524人、EGFR野生型340人)後ろ向きに検討した。傾向スコアマッチング行い、EGFR変異陽性312人の患者と、EGFR野生型312人の患者をマッチさせた。CT画像での形態、組織学的に優勢なサブタイプ、CTでの計測パラメータ(全腫瘍および内部の固形部分の体積、推定径とすりガラス部分[GGO]比)をマッチした郡内で比較した。EGFR遺伝子変異陽性のCT画像での特徴は、pureGGN(4.1% vs 1.3%)、すりガラス陰影優位(23.7% vs 14.7%)、固形部分優位(37.2% vs 31.7%)であった。一方EGFR遺伝子野生型では純粋な固形腫瘍(34.6%対52.2%、P<0.0001)であった。EGFR遺伝子変異陽性では、野生型に比べlepedic優位であり(20.2%および11.9% P<0.0001)、全体的なサイズが小さく(P<0.0001) 、GGO比がより高かった(P<0.0001) 。さらにエクソン21ミスセンス変異を持つ腫瘍では、EGFR野生型腫瘍と比較して、最も高いGGO比を示し、固形部分を持つものでは固形部分が小さかった。この傾向はエクソン19欠損を有する腫瘍にも見られた(事後解析のP<0.01)。本検討からEGFR遺伝子変異を有する腺癌は、いくつかの臨床指標でマッチングを行ってもなお野生型に比べ高いGGO比を示した。またエクソン21変異を有する病変は、他の突然変異を有する病変よりも高いGGO比を示していた。

感想
画像と遺伝子変異の研究は多くなされています。今回は外科切除された症例でEGFR遺伝子変異の有り無しとCT画像との検討です。GGNについてはEGFRなど遺伝子変異の頻度が高いということはよく知られています。今回はExon21変異にGGO成分が多いという一歩踏み込んだ内容です。このGGOはこれまでの報告通り組織型でlepedic優位であることを反映しています。傾向スコアは、性別、喫煙、腫瘍サイズ、N因子、胸膜播種、遠隔転移で調整しています。臨床背景を考慮してもなお画像上の特徴が見られるという解釈かと思います。内科治療するEGFR遺伝子変異陽性肺癌は、治療前に脳転移や骨転移が多く、一方外科手術される単発のGGNに関してはゆっくりと進行していくものが多いと思われます。このあたりが私はしっくり来ません。GGNが長い経過を経て突然全身に広がりだすのか、あるいはEGFR遺伝子変異にもう一つ何か加わるとスピードが速くなるのか、このあたりはよくわかっていません。画像でGGO成分が多いからといって、すぐTKI治療するわけではありませんが、Exon21変異が多いことは豆知識として知っておいて損はないでしょう。